アフリカ連合諸宗教対話フォーラムが会合(海外通信・バチカン支局)

アフリカ連合諸宗教対話フォーラムの運営委員会は8月28、29の両日、モザンビークの首都・マプトで会合を開き、「政権担当者、諸宗教指導者、諸宗教対話機関との間における、より強い協力関係の樹立」をアピールした。世界最大手の広報通信社「PRニュースワイヤー」が9月1日に伝えた。

同フォーラムは、アフリカ連合(AU)や「アブドッラー国王宗教・文化間対話のための国際センター」(KAICIID)から支援を受ける諸宗教対話機関。運営委員会は、AUに加盟する12カ国の諸宗教指導者で構成され、アフリカ人による同大陸の統一などを追求する汎アフリカ主義、アフリカの政治、経済、社会に関する長期的ビジョン「AUアジェンダ2063」、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)を支援する。「アフリカ大陸の肥沃(ひよく)な信仰伝統」によって「移民、和解、環境保全といった地域レベルでの挑戦に対し、諸分野間での協力が強化されるように」と訴えている。

会合の声明文では、1977年から92年まで続いたモザンビーク政府と反政府勢力との内戦に終止符を打った「和平と国家和解合意」(イタリア政府と聖エジディオ共同体=本部・ローマ=の調停によって成立)と、その「改定」に対する諸宗教指導者と同国諸宗教評議会の貢献を評価。「各国の諸宗教指導者たちがアフリカ大陸全域で、和平、相互理解、社会結束を促進するように」と呼び掛けている。

また、「アフリカ大陸の数カ国においては、いまだ内戦や、分裂と憎悪をまき散らすために宗教の濫用(らんよう)が続いている」と指摘。「教育、説教、公共の催しが人々に諸宗教の愛のメッセージを伝え、人間の尊厳性、平和共存、調和を思い起こさせることに貢献する」と記している。

さらに、「新興諸国では、少数派が擁護、受容されなければならず、緊張の高まる選挙期間には、諸宗教指導者と政権担当者が協力して安穏、節制、和解のために貢献するように」と強調。AUとKAICIIDによって今秋に企画されている、同フォーラムの「能力育成トレーニングのための会合」を告知している。

ローマ教皇フランシスコは9月4日、訪問先であるマプトで、政府、市民の代表者らに向けてスピーチを行った。この中で、「平和は、戦争の無いことではなく、許しと和解を基盤とし、諸国民に人権と尊厳性を保障していくための絶え間ない努力」と定義。「平和は、暴力という石の間に咲くひ弱な花」と警告した。

翌日、教皇は同国のキリスト教、イスラーム、アフリカ伝統宗教、ヒンドゥー教の青年たちとの集会に出席し、「“社会における敵対”が、社会を破壊することを忘れないことが重要」と示唆。「最も大きな敵対である戦争によって破壊されつつある世界」を救うためには、「全ての人々の善を考え、違いを乗り越えて共通の目的のために闘うという、素晴らしい体験を実現することだ」と強調した。さらに、「私たちは、共通の家(地球環境)を保全するという挑戦にも応じていかなければならない」と述べ、参集した諸宗教の青年たちを鼓舞した。

また教皇は、同国を発(た)つ前に聖エジディオ共同体が運営するエイズ患者のための病院を訪問した。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)