【詳報】「開祖さま生誕会」 裏千家前家元の千玄室大宗匠による献茶式が行われる

4100人が見守る中、茶をたてる裏千家前家元の千玄室大宗匠

続いて、大聖堂で初めて献茶式が執り行われた。献茶とは、家元が一門を代表して神仏に茶を捧げ、人々の幸せと平和を祈る儀式とされる。当日は厳かな空気に包まれた静寂の中、坐床(ざしょう)で裏千家前家元の千玄室大宗匠(95)により茶二碗がたてられ、本尊と庭野開祖に献じられた。

次に、名古屋教会学生部長(22)が体験説法を行った。学生部長は、学校での人間関係に悩み、自信を失っていた時に学生部活動に参加し、学生部長として「みんなの中に飛び込んでいける私になりたい」と積極的な姿勢を持つことができた体験を発表。大刀洗平和記念館(福岡)や回天記念館(山口)への平和学習を企画し、自ら心を開いて部員と絆を深め、人を支えられるようになれた喜びを語った。

この後、千大宗匠が祝辞に立った。

千大宗匠は、第二次世界大戦中の1943年に召集されて海軍航空隊に入隊後、特攻隊に配属され、出撃する兵士一人ひとりに茶をたてたことを述懐した。当時、それぞれの兵士から、「千な、生きて帰ってきたら、また茶を飲ませてくれ」と言われたことを明かした。642柱の仲間が沖縄周辺で亡くなったが、「私は生き残りまして、文化の力で世界のために、少しでも平和のために貢献したいと、一生懸命に修行・努力いたしました」と平和への願いを述べた。

また、かつて対談した庭野開祖から「あなたは戦争に行って帰ってきた。そのことに忸怩(じくじ)たる思いを抱き、平和のために努力しておられることはすごいことですね」と言われたエピソードを紹介し、世界平和を祈念した。

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