福島の実情を学ぶ WCRP/RfP日本委「平和と和解のための人材養成セミナー」

4月29日に行われた石倉団地(二本松市)でのワークショップ

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会和解の教育タスクフォース(責任者・山本俊正関西学院大学教授)主催による「平和と和解のためのファシリテーター養成セミナー」(第5回)が4月28日から30日まで福島市のコラッセふくしまを会場に行われた。

宗教者、研究者、大学院生、大学生、NGO関係者など33人が出席。和解の教育タスクフォース運営委員として庭野光祥次代会長(WCRP/RfP日本委員会理事)が参加した。

同セミナーは、日常生活から国際社会にまで見られる対立を和解に向け導くことができる人材(ファシリテーター)の育成を目的に行われている(全8回)。これまで『違いをみつめる』『他者をうけいれる』などをテーマに開催されてきた。

今回のテーマは『つながる/つなげる』。講師は、2013年から、いわき市で東京電力福島第一原子力発電所の事故に関する訴訟に取り組む三村茂太弁護士と、原発事故に伴い浪江町から避難し、現在、被災住民への支援を行っている本田昇・福島県営石倉団地自治会長の2人。今回のセミナーのコーディネーターは、同タスクフォース運営委員の松井ケティ清泉女子大学教授が務めた。

参加者に、「調停者の役割」を説明する三村弁護士

三村氏は28日、『福島のコミュニティーの分断と和解への課題――調停者としての弁護士の役割』と題し講演した。この中で、被災地では「家族」「地域コミュニティー」「放射線に対する認識の相違」といった三つのレベルで住民間の分断が進んでいると指摘。原発訴訟や賠償案件に臨んだ体験を踏まえ、信頼関係を構築し調和をもたらすためには「互いの気持ちや考えを理解し、尊重し合うことが重要」と強調した。

さらに三村氏は弁護士の経験を基に、調停者は行動や選択を自分の意思で決めたいという相手の欲求を受けとめた上で、客観的事実を基に議論を重ねていくことが問題の解決につながると解説した。

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