ロヒンギャ難民支援 物資調達から輸送、配布までを一括で行う国連WFPが現地報告会

バルカリ難民キャンプで、電子バウチャー(食糧交換券)の登録手続きを受けているロヒンギャ難民(写真提供・国連WFP)

また、バングラデシュに53ある食料配給所を訪れる難民に対し、家族の人数に応じた食料を配給する取り組みを紹介。家族の多い家庭から力の弱い女性や子供が配給所に訪れた場合は、現地で雇用する成人男性が食料や水などの重い荷物を代わりに運ぶなど、ニーズに応じたきめ細かな支援も行っていると語った。

その上で、物資の調達から難民に物資を手渡すまでの供給や支援の一連(サプライ・チェーン)を統括して実施できた成果として、「2017年8月のミャンマー国内でのミャンマー政府とロヒンギャ武装勢力との紛争勃発による難民発生から、これまでの短期間で、約3000万ドル分の支援を行うことができた」ことを挙げた。さらに、難民キャンプが比較的治安の良い、経済的にも問題のないバングラデシュ国内にあったことで、食料や通信機器、輸送車などを現地調達でき、道路交通網も整っていた点も効果的だったと振り返った。

一方、課題についても触れ、その一つに、難民キャンプの多くが樹木を伐採して山を切り開いた土地のため地盤が弱く、今年4月頃には雨期に入り、大雨による土砂災害が発生する危険性があると指摘。対策として、「現地の土木建設会社と契約し、建設作業機械を使って地盤を固める工事を行い、キャンプ内に雨期用の食料などを大量に収納できるコンテナや移動式倉庫も設置する予定」と語った。

バングラデシュで最大規模のクトゥパロン難民キャンプ(写真提供・国連WFP)