TKWO――音楽とともにある人生♪ クラリネット・亀居優斗さん Vol.1
日本トップレベルの吹奏楽団として知られる東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)。演奏会をはじめ、ラジオやテレビ出演など、多方面で活躍する。また長年、全日本吹奏楽コンクールの課題曲の参考演奏を行っていることから、特にコンクールを目指す中学生・高校生の憧れの存在でもある。今回は、2018年に大学を卒業し、TKWOに入団したクラリネット奏者の亀居優斗さん。ある楽器からクラリネットに転向した経緯や“ブラスっ子”だった学生時代の思い出を紹介する。
管楽器に触れたのは好きな子がきっかけ
――TKWOに入団して3年目になりますね
佼成ウインドの名前を知ったのは中学生の時です。インターネットでさまざまな吹奏楽団の演奏を聴いていた中の一つでした。生の演奏を聴いたのは、大学1年生の4月で、学校にたまたま定期演奏会の招待券が来ていたので、東京芸術劇場に聴きに行きました。その時はちょうど、大井剛史さんが佼成ウインドの正指揮者に就任して初めての演奏会でした。
入団したいと思ったのは、大学4年生の6月に、金沢市で行われた定期演奏会にバスクラリネットのエキストラとして出演したのがきっかけです。トーマス・ザンデルリンクさんの指揮で出演し、すてきな楽団だなと実感しました。そこからオーディションを意識して、いつ募集がかかってもいいようにと、練習に励んでいたのです。
12月にオーディションが開催され、合格することができました。翌2018年3月から試雇期間が始まり、半年後の9月に正式入団しました。
――何がきっかけで音楽を始めたのですか?
祖父は大変なオーケストラ好きでした。特にヘルベルト・フォン・カラヤンやヴィルヘルム・フルトヴェングラー、カール・ベームといった指揮者による演奏が好きで、今は病に伏していますが、音楽の話はよくしています。母も祖父の影響を受けてなのか、ピアノや歌が好きですね。
僕が小学1年生の時に、両親が弟と僕に、「水泳とピアノの習い事を1年間続けて、どちらか好きな方を選んで、嫌な方を辞めたらいい」と言ってきたのです。僕たちの可能性を広げるために習い事を勧めたのでしょうが、ピアノが習い事の一つにあったのは、母の思い入れもあったと思います。僕は1年後、ピアノを辞めて水泳を続けました。
再び音楽に触れたのは、小学4年生の時です。4年生から入れる金管バンドが学校にあって、1年の間に前期と後期で募集していました。前期の募集時に、母から「これ、やったら?」と勧められましたが、「こんなのやらないよ」とつっぱねたんです。でも、その前期の募集で好きな子がバンドに入っているのを知り、後期から入ろうと思いました。ただ、母の誘いを一度断っていたので恥ずかしくて自分からは言えず、こっそり母の机の上に入部届を置きました。すると、母は「入りたいの?」と尋ねてくれて、しれっと「じゃあ、入ろうかな」と答えてバンドに入り、トランペットを始めました。