TKWO――音楽とともにある人生♪ トランペット・ガルシア・安藤真美子さん Vol.2

TKWOのメンバーになるという中学生の頃からの夢をかなえたガルシア・安藤真美子さん。女性トランペッターで活躍するとともに、一児の母として子育てにも奮闘中だ。数少ない女性トランペッターゆえの葛藤と先駆者としての現在の心境、さらに仕事と家庭の両立を図る出産後の演奏活動について語る。

“女性はトランペットの奏者に適さない”というイメージ

――佼成ウインドのウェブサイトのプロフィルに「『女性プレイヤーのためのトランペットフォーラム』に講師として招かれる」とあります。これはどんなフォーラムですか

台湾に葉樹涵(イエ・シュー・ハン)という有名なトランペット奏者がいます。彼は、佼成ウインドと何度も共演したことがある方です。

「フォーラム」というと仰々しいんですが、公開レッスンですね。トランペットは近年、女性の奏者が増えてきましたが、かつては男性ばかりでした。そのため、彼が女性への指導の仕方が分からないとのことで、教えてくれないかと依頼されたのです。女性限定でしたが、実際に私が彼女たちに教えたことは、男性に教えることとなんら変わりはありませんよ(笑)。

――トランペット奏者に男性が多かったのはなぜだと思いますか

よく、「女の子でもトランペットを吹けるんだ」と言われてきました。“女性はトランペットの奏者に適さない”というイメージがあるそうです。確かに大学生の頃は周りに女性のトランペット奏者はあまりいませんでした。今の中学や高校では、吹奏楽部に所属している部員は女子の方が多いので、女性のトランペット奏者も増えてきましたし、特別なことではなくなってきていると思います。能力によるとかではなくて、時代の中でつくられた勝手なイメージではないかと思っています。

「女性はトランペットの奏者に適さない」という周囲からの発言や、目にする奏者が男性ばかりであるために、知らない間に先入観を植え付けられ、「自分には向いていない楽器だ」と思っている女性の奏者もいるかもしれません。そんな先入観に縛られてはもったいない。現在、私はプロとしてステージに立っていますし、多数の女性のプロ奏者がいますから、気にしないで取り組んでほしいですね。

肺活量や出せる音の大きさ、高音域の値などの正確な数値を機械で測ったら、もしかしたら、女性よりも男性の方が上回るかもしれません。ですが、そうした要素について性別の平均値に差があったとして、それは奏者個人の技量とは何の関係もありませんよね。本当に大切なことは、その時々の演奏で、求められる音を出せるかどうかです。譜面やステージの上では、男性だろうが女性だろうが関係ありません。目を閉じて聴こえる音が全てです。

【次ページ:育児と仕事の両立】