TKWO――音楽とともにある人生♪ トランペット・ガルシア・安藤真美子さん Vol.1

TKWOのメンバーになるということ

――憧れの楽団に入団してどんな気持ちでしたか

「佼成ウインドの安藤さんだ」。オーディションの結果が発表され、一緒に受けていた友人からそう初めて言われた時に、とても心に響いて、「私、佼成ウインドのメンバーになれたんだ」としばらく放心状態でした。それくらいうれしかったのです。

佼成ウインドは、私が入ったあたりから、世代交代が始まりましたが、それまでは長年同じメンバーで活動していました。ですから、私が入団した時、中学生の頃に憧れた人達が目の前にいて、一緒に演奏できることに感激しました。

――TKWOのメンバーとして、思い出に残るエピソードはありますか

忘れられない出来事があります。試雇期間の頃、ご年配だったフレデリック・フェネルさんは日本での最後の演奏会を迎えていました。演奏会の初日の本番前、フェネルさんに「オーディションに合格した安藤と申します。よろしくお願いします」と言ったら、「Welcome to our Orchestra」と言ってくださいました。「ようこそ」って受け入れてもらえた、このことが、どんなにうれしかったことか……。

もう一つは、試雇期間が終わり、正式に楽団員になると、定期演奏会やツアーで新しい楽団員の紹介としてソロを演奏することがあるのですが、その時のことです。

私は今まで演奏したことがある曲だと安心できるので、ハイドンやアルチュニアンのトランペット協奏曲がいいかなと思っていました。そのことを佼成ウインドの当時の企画委員に話すと、「せっかく吹奏楽団である佼成ウインドをバックに演奏するんだから、吹奏楽オリジナルで、なおかつ、佼成ウインドも活きる曲をやってみない?」と言われました。その時に提案されたのは、まだ日本で誰も演奏したことがなかったD・ギリングハム作曲のトランペット協奏曲「ラッパが鳴り響くとき」でした。

ハッとしました。失敗しないように自分が安心できる曲にしようということしか頭になく、「佼成ウインドのトランペット奏者として吹く」という意味を全然考えていませんでした。エキストラとして演奏に参加することと、楽団員として演奏するということは違います。この出来事は、「佼成ウインドの楽団員である」と強く自覚するきっかけになりました。それを企画委員が教えてくださったのです。とても感謝しています。

プロフィル

がるしあ・あんどう・まみこ 1974年、愛知・名古屋市生まれ。名古屋市立菊里高等学校音楽科、東京藝術大学音楽学部卒業後、シエナ・ウインド・オーケストラに入団。2002年にTKWOに移籍した。ギタリストの夫、エドアルド・ガルシア氏とトランペットとギターのデュオ「シエンプレ・デュオ」を結成。アルゼンチン音楽を中心とした演奏を手掛け、各地でライブ活動を行っている。