TKWO――音楽とともにある人生♪ トランペット・ガルシア・安藤真美子さん Vol.1

日本トップレベルの吹奏楽団として知られる東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)。演奏会をはじめ、ラジオやテレビ出演など、多方面で活躍する。また長年、全日本吹奏楽コンクールの課題曲の参考演奏を行っていることから、特にコンクールを目指す中学生・高校生の憧れの存在でもある。今回は、TKWOでは初めての女性トランペット奏者であるガルシア・安藤真美子さん。トランペットを始めたきっかけや、憧れの存在に出会えたエピソードを聞いた。

中学生から憧れていた夢の世界へ

――音楽に魅力を感じたのはいつですか

小学1年生の運動会で、学校の吹奏楽部のマーチング演奏を見た時です。強くひかれました。立派に仕立てられた赤いベストに、白いミニスカートや短パンを身にまとい、楽器を演奏しながら歩く姿が輝いて見えたのです。「あのマーチング格好良かったね!」と家族に興奮して話しました。母は私に「本当に真美子は音楽が好きなのね。きっと何か音楽をやったらいいわ」と言ってくれました。

それから3年後、4年生になって部活を決める時に、母の言葉がよみがえりました。それまでの私は、あまのじゃくな性格で、本当はやってみたいと思っていても、人に勧められると、やらないと言ってしまうことがほとんどでした。ですが、その時は母の言葉に背を押され、吹奏楽部に入りたいと父に伝えたのです。一緒に学校に通っていた近所の二つ上のお姉さんが吹奏楽部に所属していて、トランペットだったので、私もそうしました。それから今日までトランペットを吹き続けています。

――演奏家になりたいと思って続けたのですか?

中学生の時から将来の夢は、佼成ウインドの楽団員になることでした。

私が中学生だった頃から、佼成ウインドは全日本吹奏楽コンクールの課題曲の参考演奏を担っていました。吹奏楽部顧問の先生の方針で、私たち部員が聴くのはコンクールで演奏する曲を決める時だけだったのですが、それでも、毎年、中学校で行われる定期演奏会の曲目は「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」(さまざまな楽曲を吹奏楽版に編曲し、収録したCD)から選ぶのが恒例だったので、佼成ウインドが演奏するいろいろな曲を聴いていました。音楽雑誌「Band Journal」(音楽之友社)に掲載されていた佼成ウインドの楽団員の記事を読んでいたこともあって、本当に憧れの存在だったのです。「私、佼成ウインドに入るから!」と、吹奏楽部で宣言していました(笑)。

佼成ウインドのトランペット奏者のオーディションが行われたのはシエナ・ウインド・オーケストラに所属していた26歳の時です。今は雇用対策法が改正され、年齢制限を設けることが禁止されていますが、この時のオーディションは30歳以下でした。毎年、オーディションが行われるわけではありませんから、「来た。今だ」と思い、佼成ウインドのオーディションに全力を注ぎました。

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