第35回庭野平和賞が決定 レバノンのアディアン財団に

アディアン財団が行っている講座「宗教と公共問題」。さまざまな宗教的背景を持つ若者が共に学んでいる ©Adyan

国際的な宗教対話・協力にも尽力。2016年には、イタリア・ローマで「バチカン諸宗教対話評議会」と「アブドッラー国王宗教・文化間対話のための国際センター」(KAICIID)と、諸宗教シンポジウムを共催した。また、新たな試みとして昨年、オンラインプラットフォーム「タードゥディア」(アラビア語で「多元的な共存」の意)を開設した。諸宗教の歴史や教義、宗教的建造物を紹介するほか、諸宗教の伝統行事のカレンダーを掲載。多様性を尊重する文化を育むことを目的に、諸宗教の情報を広く発信している。

同財団では、16年現在、3030人が活動。アラブを中心に13カ国でプロジェクトが行われ、3万5000人以上が恩恵を受けている。こうした平和構築への幅広い取り組みが評価され、11年には、レバノンの市民平和賞、13年には、国連「文明の同盟」、アゼルバイジャン共和国による「多様な世界における平和な共生」賞を受賞した。

第35回庭野平和賞について発表する庭野理事長(左)

庭野平和賞委員会のノムフンド・ワラザ委員長(デスモンド・ツツ平和センター最高経営責任者)は、「草の根レベルでの変化に焦点を当てることを疎(おろそ)かにせずに学術的な研究と政策提言を行う能力を備えたことがアディアンの主要な業績の一つ」とし、「共存の促進を目指す遠大で創造的な取り組み」をたたえている。

庭野平和賞委員会「委員一覧」
▼委員長=ノムフンド・ワラザ氏(南アフリカ、聖公会、デスモンド・ツツ平和センター最高経営責任者)▼庭野日鑛・庭野平和財団名誉会長▼アン・ジェウン氏(韓国、キリスト教、韓国Dasomi財団理事長)▼スーザン・ヘイワード氏(米国、キリスト教、米国平和研究所・宗教と包摂的社会部部長)▼サリウ・マッケ師(セネガル、イスラーム、アフリカの平和のための宗教間行動のコーディネーター)▼ジュディス・マリー・ポヴィルス氏(米国、ローマカトリック、ソフィア大学研究所副学長)▼ハルシヤ・クマラ・ナヴァラトネ氏(スリランカ、仏教、セヴァランカ財団理事長、仏教者国際連帯会議理事長)▼サラ・ジョセフ氏(英国、イスラーム、ムスリムのライフスタイルマガジン「emel」CEO兼編集者)▼ランジャナ・ムコパディヤーヤ氏(インド、ヒンドゥー教、デリー大学東アジア学部准教授)