地球と共生する文明の未来を考える 京都造形芸術大学教授・竹村眞一氏

一方、北極と並んで急速な温暖化が進んでいるのが、ヒマラヤ山脈のあるチベット高原です。世界の主要河川である黄河、揚子江、インダス川はヒマラヤ山脈の氷河が源流です。この河川を水源にして生活している人は、中国やインドに加え、東南アジアを含めおよそ30億人います。

しかし、温暖化により、ここ20年でヒマラヤ山脈の氷河が激減し、また、最近では黄河を歩いて渡れる現象が頻発するなど、川が枯れてきています。アジアの淡水消費量の8割は農業用水ですから、川の水が減れば、農業にも大きな影響を及ぼし、作物の収穫量が減ります。こうした状況により、ほぼ食糧自給していた中国などが食糧輸入大国に転じ、20世紀後半に比べて小麦や大豆、トウモロコシといった穀物の国際市場価格は3~4倍に上昇しました。これが戦争や紛争の引き金となるのです。

世界平和の実現に向け、各地で戦争や紛争を起こすテロリストを排除しても、それはモグラたたきをしているのと同じです。表面的な部分にだけ目を向けるのではなく、テロリストを生む温床に目を向け、改善しなければなりません。それはつまり、水や食料の問題であり、その大本である地球温暖化問題に真剣に取り組むことです。

こうした危機的状況に置かれている地球ですが、近年、解決の兆しも見え始めています。

デジタル地球儀に興味津々の参加者

増加の一途をたどっていた世界のCO2排出量は、2015年にパリ協定(地球温暖化防止を目指す国際条約)が合意されてからは、排出量が増えていません。世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べて2度より低く抑え、1.5度未満と努力目標とするパリ協定の実現は一見難しく感じられます。が、CO2を2050年に半減、21世紀後半にゼロに近づけていけば、地球の未来は私たちの力で相当変えられるということが、最新の温暖化シミュレーションをこのデジタル地球儀で見るとよく分かります。私たちのエネルギーの使い方、ライフスタイルの転換により、地球の未来は必ず変えることができるのだ、それほど人類の力は大きくなっており、使う方向を逆転すれば地球を良くすることもできるのです。

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