普門館とわたし(6)

普門館にまつわる思い出やエピソードを「普門館とわたし」として募集したところ、貴重な体験が投稿として寄せられています。第6回は、学生の「H.M」さん、「Y.H」さんと、被災後に舞台に上がった「高橋秀典」さん、40年前に舞台で演奏した「りUp」さんの投稿です。(タイトルは編集部)

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「時代」の声を伝えて――文学がとらえた80年(22)番外編6 文・黒古一夫(文芸評論家)

ユートピアを求めて(6)――北海道に「理想の国」を!

今年のNHK大河ドラマは、「明治150年」を祝う意味もあってなのか、明治維新の功労者・西郷隆盛を主人公とする『西郷どん』である。年末の終章に向かって最近はいよいよ「征韓論」を巡る政争――長州藩出身の木戸孝允を間に挟んでの、西郷と薩摩藩の同志であった大久保利通との争いの様相を帯びてきた。『西郷どん』の展開とは別に、明治維新に関わる歴史において、「日本史」の教科書にも記されていない、「闇に葬られた」類の出来事が多々あることを、私たちのどれほどが知っているだろうか。例えば、「蝦夷共和国」である。

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ミンダナオに吹く風(22) 敗戦後、日系人たちはジャングルへ逃れた 写真・文 松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

敗戦後、日系人たちはジャングルへ逃れた

「ミンダナオ子ども図書館」の訪問者を連れ、私たちはミンタルの日本人墓地に寄った。大きな熱帯樹の下で、慰霊碑に手を合わせて祈っていると、蝉(せみ)たちの声に交じって鳥の鳴き声が聞こえてくる。まるで、戦争で死なざるを得なかった霊たちが、祈りを捧げている私たちの姿を天から見下ろして、声を掛けてきているかのようなさえずりだ。後日、この日本人墓地では、ミンダナオ子ども図書館の若者たちが集まって、近くにある日系人会の学校の子どもたちと共に「平和の祈り」を捧げた。

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