DJボウズの音楽語り(5) 文・戸松義晴(浄土宗心光院住職)

画・花本彰

Golden Hawaiian Melodies

これまでこのコーナーでは、私が所有するアナログレコードを紹介してきましたが、8月上旬に米ハワイ州マウイ島で山火事があり、その関連で、今回はマウイ島の曲が収録されているCDを紹介させて頂くことをお許しください。

マカハ・サンズのアルバム「Golden Hawaiian Melodies」に収録されている「Lahaina Luna」は、マウイ島の西部地域・ラハイナを歌った曲。今回の山火事で大きな被害を受けたところです。

ラハイナは、ハワイ王国の首都があった場所で、捕鯨船の寄港地としても栄え、史跡も残されています。この地の建物は木造が多く、火事で燃え広がった原因の一つだったそうです。

大正時代に創建された浄土宗の開教寺院である「ラハイナ浄土院」もこの地域にあり、日系移民のために建てられた寺院でした。地域のコミュニティースポットになっていて、毎年、お盆の時期には盆踊りが開催され、檀信徒だけでなく地域の多くの人が訪れていました。ですが、この火事で本堂や三重塔などが焼失。本尊は、尼僧さんが運び出してくれたことで残りました。

私は、浄土宗の研修講師としてハワイの各所を訪れ、ラハイナにも行きました。木造の建物がたたずむ古い街並みで、お土産屋、シェイブアイス店、雑貨屋などがあって、とても素敵な街です。火事のニュースを見て、当時、温かく迎えてくださった住職の原源照さんをはじめ、ご家族、檀信徒の方々の顔が思い浮かび、心配しております。

山火事直前に浄土院で行われた「Bon Dance」。観光客や地域住民が集った(ラハイナ浄土院提供)

火災後、寺院の方からメールを頂きました。一夜にして街が灰と化し、人が住めるまでに数年は必要なようです。檀信徒も被災し、散り散りになっています。街の復興と共に、寺院の復興も頑張りたいというお話でした。

今回紹介するマカハ・サンズは、ハワイの伝統的な音楽を奏でるローカルバンドです。ハワイの音楽「ハワイアン」は、ソロで歌うというよりは、声をハモらせて、コーラスで歌います。そのハモりが、キレイなんです。どの曲もゆったりとしていて、ハワイの景色、風、空気、青々とした海を感じられます。「Lahaina Luna」では、ラハイナは、星や月が輝き、美しいサンセットが見られ、自然あふれる素敵な街だということを歌っています。

楽園と呼ばれるハワイで、こんな悲しい災害が起こるとは思ってもいませんでした。甚大な被害となった要因の一つに地球温暖化の影響があるようです。近年、世界各地で山火事が発生しています。私たちが便利で、快適な生活を追い求めてきた結果でもあり、マウイ島で起きた火事も自分たちに関係ないことではありません。同じ地球に住む一つの家族として、普段の自分たちの生活の中でできる地球温暖化対策に取り組んでいかなくてはなりません。

そんなことを考えつつ、「Lahaina Luna」を聞いて、ハワイに思いを馳(は)せて頂けたらと思います。

♪ 今回のおすすめ視聴
「Lahaina Luna」
https://music.apple.com/jp/album/lahaina-luna/125835673?i=125835944

プロフィル

とまつ・よしはる 1953年、東京都生まれ。慶應義塾大学、大正大学大学院を経て、ハーバード大学神学校で神学修士号取得。現在、浄土宗心光院住職、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会理事長、浄土宗総合研究所副所長、国際医療福祉大学特任教授を担っている。全日本仏教会理事長、日本宗教連盟理事長などを歴任。趣味は音楽鑑賞(ソウルミュージック)。