ミンダナオに吹く風(18) ミンダナオ子ども図書館の訪問者 写真・文 松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

ミンダナオ子ども図書館の訪問者

日本から「ゆめポッケ」が届けられるようになって数年が経った2009年、立正佼成会から「ミンダナオ子ども図書館を訪れて、『ゆめポッケ』の配付地域を見たい」という連絡が入った。その目的とするところは、将来的に、「『ゆめポッケ』を直接手渡して、紛争や対立で傷ついた世界の子どもたちに、まごころと友情の支援をすること」にあるという。すなわち、ミンダナオ子ども図書館の活動している地域が、親子で訪問するのに適正か否かを、安全性の面も含めて確認することだった。

「ゆめポッケ」は海を渡り、ミンダナオの子どもたちの手に

私たちが、「ゆめポッケ」を届けている地域は、大まかに3カ所で、そこの子どもたちにおくっている。一つは、50年以上も内紛に悩まされ続けているイスラーム地域。二つ目に、住まいが反政府の新人民軍の活動地域にあり、平地を追われて山岳地帯に住まざるを得なくなった、過度な貧困の中に暮らす先住民族の子どもたち。そして、都市の貧困を象徴する、ダバオ市の海に張り出した貧民地区の物乞いに生きる子どもたちだ。私たちは、奨学生の子どもたちと一緒に、これらの地域に何度も絵本の読み語りに訪れたり、病気の子どもがいれば病院に連れて行ったりした。孤児の子たちを奨学生に採用し、場所によって保育所も建ててきた。

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