インドネシア国立イスラーム大学がバチカン高官に名誉博士号(海外通信・バチカン支局)
インドネシア国立イスラーム大学は2月11日、バチカン諸宗教対話省長官のミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿に名誉博士号を授与した。アジアのカトリック系国際通信社「UCAニュース」が13日に報じた。
ジャカルタ市内にある同大学で行われた式典には、カトリック教会側からアユソ枢機卿、駐インドネシア教皇大使のピエロ・ピオッポ大司教、アジア・大洋州地域の諸宗教対話担当官であるマルクス・ソロ・クエタ神父(神言会)が出席。イスラーム側からは、「ナフダトゥル・ウラマー」のヤヒヤ・チョリル・スタクフ議長、「ムハマディア」のスディビオ・マルクス前議長が参列した。両団体は、インドネシアのイスラーム界を代表する二大組織である。
イスラーム大学のフィル・アルマキン学長は、アユソ枢機卿に対する名誉博士号授与の理由を「数年間エジプトやスーダンに滞在し、ムスリム(イスラーム教徒)を主要人口とする中東の国々を訪問して、諸宗教対話を進めるだけでなく、ローマ教皇フランシスコとアズハル(イスラーム・スンニ派最高権威機関)のタイエブ総長が2019年にアラブ首長国連邦のアブダビで共に署名した『人類の友愛に関する文書』の実現に貢献し、教皇のリーダーシップに沿い、諸宗教の信徒間における寛容と調和を促進したため」と説明した。
アユソ枢機卿は、『人類の友愛に関する文書』が同大学から評価されたことに「深い感謝」を表明。「今日の式典が、平和的な世界と人類共存の構築を促進、強化していくことに貢献する」との確信を明かした。
クエタ神父は、アユソ枢機卿への名誉博士号授与が、「インドネシア国家からのカトリック教会に対する最高の認知」とコメント。ピオッポ教皇大使は、アユソ枢機卿が「学者としてだけでなく、諸宗教対話について深い洞察力を持つ宣教師、カトリック信徒であり、誰とでも対話することに喜びを感じている」と評価した。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)