TKWO――音楽とともにある人生♪ バスクラリネット・有馬理絵さん Vol.2
バスクラリネット奏者の有馬理絵さんは、丹念に時間をかけて、リードを“育て上げていくこと”にこだわりを持つ。今回は、バスクラリネットにかける思いや、本番前に緊張を和らげるために実践していることを聞いた。
B♭管からバスクラリネットへ
――B♭管のクラリネットに加え、バスクラリネットも吹こうと思ったのはなぜですか
プロのクラリネット奏者の世界では、特殊管と呼ばれるエスクラリネットかバスクラリネットを演奏できる方が、仕事を得やすいという事情があります。どちらも演奏せず、「B♭管のクラリネットだけで」と決め、実際にその世界で羽ばたける人はごくわずかです。私がバスクラリネットを選んだのも、このことと深く関係しています。
大学生の時に初めて頂いたオーケストラの仕事はバスクラリネットでした。それまでB♭管一筋で勉強してきて、バスクラリネットをまともに演奏したことはなかったのですが、楽団に行き、そこの楽器をお借りして演奏しました。
大学院在学中も引き続きB♭管の勉強をして、バスクラリネットの仕事を頂いたら吹くということをしていました。バスクラリネットの活動が本格化していったのは、卒業後、1、2年が経った頃です。仕事を受けるうちに、バスクラリネットの仕事が格段に増えてきました。これはそろそろ楽器を借りるよりも自分のものを買った方がいいと思い、5年ローンで買いました。
それまでは、楽団所有の楽器に私が合わせるという形で演奏をしていましたが、自分の楽器だと練習時間を増やすことができます。何より、自分の好みにカスタマイズできるので、これまで以上に演奏の幅が広がり、技術も身についていきました。
また、楽器を買った途端、「有馬は自分の楽器を買ったらしい」という、うわさが流れ始めます。音楽業界は縦や横のつながりが強いので、それを聞いた方たちからさらに仕事を頂けるようになりました。