TKWO――音楽とともにある人生♪ ピッコロ・丸田悠太さん Vol.3

丸田悠太さんは、フルート演奏の幅を広げるために始めたピッコロに魅せられ、やがて東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)にピッコロ奏者として入団する。今は楽団の“際立つ存在”としてファンの注目を集める。今年6月の第139回定期演奏会ではソリストを務めることが決まった。今回は、定期演奏会に懸ける意気込みに加え、演奏家としての理想の姿について聞いた。

ピッコロの魅力を存分に伝えたい

――今年6月の定期演奏会ではソリストとして演奏することが決まりましたね

定期演奏会では、ローウェル・リーバーマンの「ピッコロ協奏曲」を演奏します。この曲は、演奏されること自体があまり多くない作品だと思うのですが、今回は吹奏楽のためにアレンジされたものを演奏します。吹奏楽版としては世界初演になります。

3オクターブの音域を奏でることができるピッコロは、それぞれの音域によって音色が大きく変わる楽器だと思います。1オクターブ目は、良い意味で少しくすんだような感じの音色で、ちょっとぼかしてあるような、水に水彩絵の具を少しだけ溶いたようなイメージです。2オクターブ目に入ると、音の透明感がどんどん増していきます。そして、3オクターブ目は、きらきらと輝くような、きらびやかで華やかな雰囲気の音色が広がります。今回の定期演奏会では、ピッコロの魅力的な音色を堪能して頂ける作品を演奏しますので、ぜひ、さまざまな音のキャラクター(個性)や、“色合い”を感じて、楽しんで頂きたいと思います。

――全国の吹奏楽に取り組む人たち、特にピッコロパートの学生にメッセージを

ピッコロは、音を出すのにコツをつかむ必要があり、取っ掛かりづらく感じるかもしれません。僕も初めは苦労しました。ただ、難しいからといって投げ出さないでください。コツをつかむまでの苦労のその先に、魅力的な世界が広がっていることを、多くの人にぜひ知って頂きたいと思います。

例えば人間関係では、初対面の相手に好印象を抱けなかったとしても、その人としばらく付き合っていくうちに、「こんな魅力があるんだ!」と感じることってよくありますよね。ピッコロと付き合っていくと、そんな場面が不意に訪れます。時間をかけることで相手の良さが分かる人間関係に似ているのです。

それと、これはピッコロに限ったことではありませんが、どの楽器も極めるには多少の壁にはぶつかりますから、困難だと感じる時こそ、自分の成長のためにあると前向きに受けとめて、挑んでください。困難は、自分の人生を豊かにしてくれるものだと思いますよ。

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