地域の非営利団体に協力する「一食地域貢献プロジェクト」(10) NPO法人「CAPNA」(名古屋教会が支援)

電話相談で子育てに悩む母親の心に寄り添う相談員。傾聴を心がけ、相手に応じて必要な支援を提供する

未来を担う子供たちを虐待から守りたい

子供たちへの虐待防止を目的に1995年、NPO法人「CAPNA」(子どもの虐待防止ネットワーク・あいち)が設立された。

「当時、親から虐待を受けている子供が、児童相談所の一時保護などにつながることなく亡くなる事件が、日本全国で相次いで起きていました。未来を担う子供たちを守りたい。そう思ったのです」。CAPNAの設立当初から児童相談所の職員として関わりを持ち、現在、理事長を務める萬屋育子さんは語る。

CAPNAには、スタッフ養成講座を修了した約80人の相談員が登録。毎週月曜日から土曜日の10時から16時まで、子育てで深刻な悩みを抱える母親などからの電話相談に当たる。

「子供をたたいてしまった」「子供との接し方が分からない」など、母親の切実な悩みに耳を傾け、丁寧に応じることを心がけている。電話相談で問題が解決しない時は、児童相談所や医療機関などCAPNAと協力関係にある団体を紹介し、相談者に必要な支援をしている。

また、メールでの相談も受け付けるほか、児童虐待や家庭内暴力(DV)被害を受けている親子を一時避難させるシェルター事業なども行う。昨年度は電話相談が1015件、メール相談が1273件、シェルターの利用が延べ113日に及んだ。

設立当初は、関係機関などから通報を受け、児童相談所につないで、身体的虐待や性的虐待から子供を保護する事案が多かった。しかし、児童虐待防止法の施行や児童福祉法の改正で児童相談所や自治体の体制が整備されたことで、近年は、虐待を受けて育った親自身の育児不安や対人恐怖などの相談が増加。30代前後の子育て世代に加え、50代からの相談もあるという。

これまでの活動に加え、最近では、虐待で亡くなることが最も多い「0歳0カ月0日」の子供の命を守るため、出産前から予期しない妊娠などで悩む女性の相談に乗り、産み育てられない新生児と里親が特別養子縁組を結ぶ「新生児里親委託」(赤ちゃん縁組)の普及にも取り組む。萬屋さんは、「子供たちに『この世に生まれてよかった』と感じてもらいたい。虐待でつらい目に遭う子供がいない社会になるよう、民間団体として何ができるかを考えていきます」と力を込める。

◆ ◆ ◆

この企画では、立正佼成会「一食(いちじき)地域貢献プロジェクト」が支援する団体の活動を紹介する。

メモ:一食地域貢献プロジェクト

「一食を捧げる運動」の浄財の一部を全国各教会が主体的に活用し、地元のニーズに応えて活動する非営利団体の支援を通して、温かな地域づくりに協力している。なお、「一食を捧げる運動」とは、月に数回食事を抜く、あるいはコーヒーなどの嗜好(しこう)品を控えて、その食費分を献金して国内外の諸課題に役立てる取り組み。
http://www.ichijiki.org