地域の非営利団体に協力する「一食地域貢献プロジェクト」(8) NPO法人クレセール心の相談室(北教会が支援)

放課後等デイサービスは、障害のある子供たちにとって、放課後の居場所となっている

「先生、こんにちは!」「今日のおやつは何?」。東京・北区にあるJR赤羽駅から程近いビルの2階。発達障害などで療育が必要な児童や生徒を放課後に預かる通所施設「クレセール心の相談室」には、夕方になると、子供たちの元気な声が響きわたる。

日々成長する子供たちの可能性を見つめ

クレセールでは7年前、学童保育を利用しにくい障害児を支援する場として、北区からの要請を受け「放課後等デイサービス」をスタートさせた。その後、利用者の裾野も広がり、現在、小学生から高校生までの約50人が利用。利用者の年齢層を分けるため、第2クレセールも開設された。

元教諭や、臨床心理士、学校心理士などの専門職員が子供たちの受け入れにあたり、週末には、自立支援のためのグループワークや個別相談などを実施する。特定日以外はプログラムを設けず、宿題や遊び、歌やレクリエーションなど各自が自由にリラックスして過ごすのが特徴だ。

室長の弘田栄子さんは言う。「中には、人とうまく付き合えず自分の殻にこもったり、衝突したりする子もいますが、一人ひとりとじっくり触れ合っていくことで、子供たちは少しずつ、確実に成長していきます。日々教えられることばかりなんですよ」。

A君(17)は、記憶力は抜群だが、簡単な計算が得意ではなかった。ところが、買い物ごっこでレジ打ちをするうちに、計算に対する興味が湧いてくるのだった。

B君(15)は、クレセールにやってくると、自宅だと思って安心するのか、人前で服を脱いでしまう癖があった。そんなとき、弘田さんらスタッフは、頭ごなしに叱るのではなく、「ほら、みんな見ているでしょう。恥ずかしいことなのよ」と根気強く教えた。すると、少しずつ状況がのみ込めるようになった。

また、これまで他人との関係が築けなかった子が、今では、「ごめんなさい」や「ありがとう」をきちんと伝えられるように。職員が片付けをしていると、一緒に手伝ってくれる子もいる。そんな一人ひとりの成長が職員の支えとなっている。

クレセールという言葉には、ポルトガル語で「成長する」という意味がある。弘田さんは、「障害は個性だと思うんです。親や地域の人には、日々成長する彼らのことを温かい目で見守って頂きたい」と話す。

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この企画では、立正佼成会「一食(いちじき)地域貢献プロジェクト」が支援する団体の活動を紹介する。

メモ:一食地域貢献プロジェクト

「一食を捧げる運動」の浄財の一部を全国各教会が主体的に活用し、地元のニーズに応えて活動する非営利団体の支援を通して、温かな地域づくりに協力している。なお、「一食を捧げる運動」とは、月に数回食事を抜く、あるいはコーヒーなどの嗜好(しこう)品を控えて、その食費分を献金して国内外の諸課題に役立てる取り組み。
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