地域の非営利団体に協力する「一食地域貢献プロジェクト」(7) 児童養護施設「おさひめチャイルドキャンプ」(伊那教会が支援)

園は子供たちの「家」。職員は「家族」のような存在でありたいと願っている

「ただいま!」。午後3時を過ぎ、子供たちが学校から帰ってくると、途端に園内がにぎやかになった。「おかえりなさい!」と、子供たちを迎える職員も、みんな笑顔だ。

長野県飯田市の住宅街にある児童養護施設「おさひめチャイルドキャンプ」は、昭和29年、虚弱児施設として設立され、平成10年、児童養護施設に移行。現在、さまざまな理由から保護者の養育を受けられない3歳から18歳までの子供たち25人が生活している。

「私は愛されている」と感じてもらえるよう

「全国的な傾向ですが、児童養護施設に入所する理由として一番多いのが、親からの虐待です。ここへ来て、子供たちが心身ともに休まり、園の生活を通して、『生きる喜び』を感じてくれたらうれしいです」と、西村武園長は語る。

同園では、衣食住の支援とともに、子供たちが主体的に生きていく力を養うため、起床時間などの画一的な規則は設けていない。一人ひとりが、自分で時間を管理していくことを重要視し、希望すれば、水泳やピアノなどの習い事も可能だ。中学・高校生では、部活動に打ち込む子供もいる。

さらに、同園の職員として児童指導員、保育士が在籍するほか、臨床心理士、栄養士など専門性の高い職員を配置し、子供たちへのこまやかなケアを目指している。

臨床心理士の西村慶子さんは、週に一度、1時間、子供たちと個別の面談を行い、心のケアに努めている。大きな窓から伊那山地を望む明るい部屋で、慶子さんはまず、子供に1杯のお茶を提供。リラックスした雰囲気の中で語り合う。

「チェスがしたい、音楽が聴きたいと言われれば、リクエストを取り入れながら、話に耳を傾けています。言葉にできない思いを知るため、時々、『箱庭療法』(砂を入れた箱に人形等を用いて庭を作る心理療法)をしますが、箱庭に担架を置く子が多いです。それだけ傷つき、助けを求めているということでしょうか」

また、慶子さんは、こんな思いも吐露する。「入園以来、一度も面会に来ない親もいます。それでも、親への恨みを言う子は少ない。そういうけなげな心に寄り添い、いたわり、励ましたい」。

園は子供たちの「家」であり、職員は子供たちと一緒に喜んだり、悲しんだりできる「家族」のような存在でありたいと願う。「私は愛されている」と子供たちに感じてもらえるよう日々、心を砕く。

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この企画では、立正佼成会「一食(いちじき)地域貢献プロジェクト」が支援する団体の活動を紹介する。

メモ:一食地域貢献プロジェクト

「一食を捧げる運動」の浄財の一部を全国各教会が主体的に活用し、地元のニーズに応えて活動する非営利団体の支援を通して、温かな地域づくりに協力している。なお、「一食を捧げる運動」とは、月に数回食事を抜く、あるいはコーヒーなどの嗜好(しこう)品を控えて、その食費分を献金して国内外の諸課題に役立てる取り組み。
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