ACRP東京大会 連携し行動する姿勢、鮮明に アジアと世界の諸問題に向き合う宗教者

分科会3 『社会の共存と調和のための和解』

第1セッション「ミャンマーの現状について」

今年2月の軍事クーデターに加え、新型コロナウイルスの感染拡大により、社会の混乱や国家機能の低下、経済の停滞、食料不足など苦しい現状がミャンマーの宗教者から報告された。現在は、国軍への大規模な抗議活動はなくなったが、若者を中心に不服従運動が続いているという。

現地の宗教者から、市民の現状と継続した人道支援の必要性が伝えられた

一方、市民への弾圧を受けて、これまで国軍がロヒンギャ族を含む少数民族への差別を扇動してきた側面がクローズアップされ、国民の間で民族の違いを超えて互いを尊重しようという機運が高まっていることが紹介された。民主的な新たな国づくりに向け、諸宗教のネットワークを生かしつつ、国際機関や市民社会とも協力して人道支援を行う必要性を参加者全員で確認した。世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会が人道支援募金を行い、支援金が活用されていることも伝えられた。

第2セッション「朝鮮半島の平和と和解」

東西冷戦時代から70年以上緊張状態が続く朝鮮半島の歴史と現状が紹介された。現在、韓国内では北朝鮮に対して和平推進派と強硬派に意見が二分しており、朝鮮半島の和解に向け両者の協力の必要性が示された。

韓国の宗教者や紛争和解の研究者が発言した

平和教育についても論及された。固定観念を持たずに相手をよく理解し、現状を正しく認識した上で、長期的な視点で地道に対話を重ね、互いの信頼構築に努める大切さを確認。その上で、政府、市民、近隣諸国、国際社会が協力して和解に取り組む重要性が明示された。

韓国の宗教者からは、過去に反共産主義の立場で冷戦を助長したことへの自省の念が表明された。一方、宗教者による和平の取り組みも紹介され、憎しみと暴力を超えるため宗教の智慧(ちえ)を生かす大切さが論じられた。

分科会4 『多様化する社会における開発と環境』

環境問題の研究者や宗教者などが発言し、まず気候変動は人類共通の危機であり、環境保全と開発の両立を図る重要性を確認した。これにより、人と自然の調和を図って地球の生態系を保護しながら、貧困などの社会問題を解決に導くことが可能との見解が示された。

宗教的な知恵を生かして環境保全に取り組むよう議論を深める参加者

環境保全に向けた具体的な取り組みとして、「少欲知足」の精神に基づいた食生活やエネルギー消費、交通手段の見直しを強調。気候変動がもたらす海面上昇や自然災害により、命の危険が増すことへの意識喚起、自然資源の適切な利用、市民社会が結束して各国政府に環境保全を訴えることなどが提案された。

また、宗教は全ての生命の尊重を説いており、宗教者が率先して質素な生活に努め、環境保全に取り組む大切さも明示された。