ACRP東京大会が閉幕 環境危機や紛争、人権侵害の解決に結束

大会には延べ約1500人がオンラインで参加。地球温暖化や紛争、人権侵害などの諸問題の解決に向けた宗教者の役割について協議した

『行動するアジアの宗教コミュニティ:誰一人取り残さない、健やかで豊かなアジアの平和をめざして』をメーンテーマに、アジア宗教者平和会議(ACRP)の第9回「ACRP東京大会」が10月19日から22日まで、立正佼成会の法輪閣(東京・杉並区)を拠点にオンラインで開催された。

日本で初開催となる大会には、アジア太平洋地域の21カ国から正式代表約120人をはじめ延べ約1500人(青年・女性事前大会含む)が参加。世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会(植松誠理事長=日本聖公会主教、ACRP執行委員)が受け入れを担った。(写真は全て、ACRP提供)

行動志向のACRPをさらに

ACRPは1976年にシンガポールで開かれた第1回大会を機に発足。以後、およそ5年ごとにアジア各国で大会を開催してきた。近年は2014年に韓国・仁川(インチョン)で行われた第8回大会の宣言文に沿って「行動する宗教」を志向。「人身取引防止」「いのちの尊厳教育」「平和構築と和解」「環境問題」「青年リーダー育成」を「フラッグシップ・プロジェクト(重点実施事業)」として取り組みを進めている。

今大会は、ACRPの行動力を強め、アジア太平洋地域でいのちと生活の危機にさらされている人々に真の利益をもたらす取り組みをさらに推進していくためのもの。19日の開会式では、出雲雅子氏による「お浄(きよ)めの舞」、諸宗教の祈りに続き、ACRP共同会長でWCRP/RfP日本委会長を務める庭野日鑛会長が歓迎挨拶に立った。

アジアの平和と大会の成功を願い、開会式では出雲氏が雅楽の演奏に合わせて「お浄めの舞」を行った

庭野会長は、宗教が培う平和の心とは、自らのいのちの有り難さに気づき、一切の生きとし生けるもののいのちを尊重することと説明。その価値観を確認し、身近な場所で実践することが宗教者の役割と示した。その上で、アジアに山積する課題に触れ、「苦悩を分かち合い、問題の本質を見つめ、解決策を見いだしていけるよう、皆さまと手を携えて前進してまいりたい」と述べた。

続いて、根本信博事務総長、ディン・シャムスディーン実務議長(インドネシア元大統領特別補佐官)、WCRP/RfP国際委員会のアッザ・カラム事務総長が挨拶。日本宗教連盟(日宗連)の大柴讓治理事長と小泉進次郎前環境大臣が祝辞を述べた。

和太鼓奏者・響道宴氏と津軽三味線奏者・山中信人氏による文化パフォーマンスに続き、京都芸術大学教授でNPO法人「Earth Literacy Program」代表の竹村眞一氏が『人新世時代における人類と地球の共生・共進化』と題して基調講演を行った。

この後、22日まで、ビジネス会議を含む五つの全体会議が行われた。

【次ページ:新型コロナ感染症への対応も協議】