ACRP東京大会 連携し行動する姿勢、鮮明に アジアと世界の諸問題に向き合う宗教者

開会式で歓迎の言葉を述べる根本信博事務総長。新型コロナウイルスの感染防止のため、大会は法輪閣を拠点にオンラインで開催された

アジア宗教者平和会議(ACRP)の第9回「ACRP東京大会」では、環境危機や紛争、人権侵害などアジアや世界が抱える諸問題について協議された。大会プログラムの中から、基調講演、アフガニスタンに関するセッション、分科会の内容を紹介する。(写真は全て、ACRP提供)

基調講演要旨 人新世時代における人類と地球の共生・共進化 竹村眞一・京都芸術大学教授

「デジタル地球儀」を開発したのは、地球環境の変化が多くの人の生活に影響を与えていることを視覚的に感じてもらいたかったからです。

自らが発案したデジタル地球儀を使って、英語で講演する竹村教授

この地球儀の温暖化シミュレーションによると、現在のままCO2(二酸化炭素)を排出し続けると、今世紀末には地球全体が極めて暑くなると予想されます。北極や山岳地帯の氷が解け、より太陽熱を吸収するようになり、さらに熱波による火災で森林が失われ、CO2を吸収して温暖化を抑制するシステムが破壊されてしまいます。水不足や干ばつ、パンデミック(感染症の世界的流行)も増えるでしょう。その結果、人命の危機も高まります。私たちの社会は気候変動に対して非常に脆弱(ぜいじゃく)です。

2010年、熱波によって小麦の生産量が半減したロシアは、小麦の輸出を禁止しました。輸入国の中東諸国では穀物価格が高騰し、貧困層の生活は悪化しました。このことがアラブ諸国の民主化運動を拡大させ、シリアの内戦にもつながったといわれています。このように、温暖化の影響は多方面に及ぶのです。

今後に向けて、希望はあります。CO2の排出量を2050年までに半減させ、70~80年までに実質ゼロにできれば、未来を変えることができます。脱炭素化を進め、再生可能エネルギーを活用する。電気自動車や節水トイレを普及させ、雨水タンクを設置する。そのように技術を使って持続可能な社会をつくり、私たちの生活様式を変えていくことが大切です。

人間は、人工と自然をつなぎ、調和させることができます。例えば植林による緑化です。自然を保護するだけでなく、人間が手を加えることで自然を若返らせることができるのです。そして、植物や微生物なども含めたさまざまな種とパートナーシップを図っていく。そのようにして地球との「共進化」を目指すことが、人類の将来を考える上でとても重要です。(文責在編集部)

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