特集・庭野平和財団設立40周年(1) 宗教的精神を基盤とした平和活動を支えて

また、活動助成の282件は日本の団体へのもので、このうち179件が国内実施の事業、103件が海外実施の事業だった。海外の活動地域で最も多かったのは、バングラデシュ。次いでカンボジア、フィリピン、スリランカと、アジアでの活動が全体の約70%を占めた。アジア以外では、ルワンダやケニアなどアフリカが多かった。

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一方、海外の団体への助成は112件でアジアでの活動が半数を占め、中東、北・中・南米、ヨーロッパ、アフリカはそれぞれ10%前後と、均等に分かれた。

年別の傾向としては、2003年から14年まで国内団体への助成が大半であったが、15年に国内と海外の採択件数に差がなくなり、16年、17年には海外が国内団体を上回るようになった。インターネットの普及などが背景にあると考えられ、特に近年はアフリカ地域からの申請が急増している。

単年の助成となる「公募」に比べ、継続的な支援ができる「非公募助成」では、「教育・育成・能力強化」が23%、「交流・ネットワーク・催し」が19%、「調査・研究・提言」が17%。公募助成と同様に教育分野への助成が最も多かった。事業形態の区分けでは、イベント型が30%、集合教育型が22%、現地活動型と調査型がともに11%となっている。

リニューアルされた同財団のウェブサイト

このほか、今年、同財団はウェブサイトをリニューアルした。トップページには「平和活動推進事業」「庭野平和賞」「助成」の三本柱を強調するデザインを採用し、その取り組みを分かりやすく明確に伝えることに主眼を置いた。リニューアルに伴い、公募助成のオンライン申請も可能になった。今年度から助成の対象として『分断された社会の中の対話と協力』というテーマを新たに設定した一方、年間の募集回数は2回から1回に変更された。

高谷忠嗣専務理事は、「社会状況は刻一刻と変わっていきますので、変化に対応し、助成先の選定の質を上げていくため、これまでの助成事業を検証しました。発信力を強め、平和の実現に向けて、市民と団体をつなぐ役割を今後も誠実に果たしていきます」と述べた。