WCRP/RfPミャンマー委員会顧問のボー枢機卿に聞く 「ミャンマー・ハイレベル諸宗教使節団」の会合を終えて(1)

WCRP/RfPミャンマー委員会のメンバー(前列)

――アウンサンスーチー国家顧問との会談で印象に残っていることは?

諸宗教者との会談の席上、アウンサンスーチー国家顧問は、人間の性質として、非常に攻撃的な側面があると話されました。これは事実であり、私も同意見です。人間は弱く、その弱さのために、自らの攻撃性を完全に取り除くことはできませんが、愛こそがその攻撃性を制御できるのです。

宗教者の役割とは、他者への愛を広げていくことにほかなりません。国家顧問が伝えていたのは、「人間の本質、その良い部分を表すことによって他者を愛し、他者から愛されるようになりましょう」ということです。他者を愛し、他者から愛されるというのは、人間の本質、心に関わる事柄で、人間は本来、常に他者を愛し、他者から愛されるように生きようとするものです。

――宗教協力の重要性とは?

ミャンマーでは数年前まで、異なる宗教者との交流はあまりありませんでした。例えば仏教僧もキリスト教徒もムスリムの方たちも、それぞれに自らの道を進んでいるだけでした。しかし、ミャンマーが抱える問題を互いに考えることをきっかけとして、私たち宗教者は他者に対する恐れ、さらにそれぞれの悪や欠点を取り除こうとしてきました。異なる宗教者同士がお互いに歩み寄り、相互理解を深めようとしているのです。それぞれの道を歩んでいた以前とは違います。

今、仏教の僧侶もイスラームの指導者も、キリスト教のわれわれもお互いに歩み寄り始めました。紛争を契機に、諸宗教者は自らの宗教だけでなく、宗教全体を知ることができました。お互いに学び合い、理解し合うことを恩恵として受け取っていくことを大事にしています。

私の希望は、宗教指導者同士の相互理解がミャンマー国民全体に広がっていくことです。これを果たすことが私たちの使命であり、相互に学び合おうとすることで、人々は自然とお互いを理解するでしょう。これこそ恩恵であり、恵みなのです。

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