分断と対立に終止符を 庭野会長参加のミャンマー・ハイレベル諸宗教使節団が会合 アウンサンスーチー国家顧問に書簡手渡す

5月23日の会合には、諸宗教者をはじめ各国大使、国連機関の代表など約100人が参加した

民族対立を抱えるミャンマー、その平和を支援する「ミャンマー・ハイレベル諸宗教使節団」の会合が5月23、24の両日、ヤンゴンのホテルで行われた。この会合は、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)ミャンマー委員会と同国際委員会の共催によるもの。ミャンマーの宗教者9人と、立正佼成会の庭野日鑛会長を含む海外宗教者7人が、民族、宗教の違いを理由にした分断や対立の改善策について、宗教的観点から意見を交わした。25日には首都ネピドーにある外務省を訪れ、会合での議論などを基に作成された公開書簡をアウンサンスーチー国家顧問に提出した。

ミャンマーは多民族国家として知られ、全人口の約7割を占めるビルマ族以外に、多くの少数民族が暮らしている。宗教については、国民の約9割が仏教徒といわれている。このほか、キリスト教、イスラーム、ヒンドゥー教の信徒が混在する。この一帯では、かつて多民族・多宗教の共存が保たれてきたが、1948年の英国からの独立以来、各地で民族紛争が絶えない。加えて、昨年8月には、ラカイン州でムスリム(イスラーム教徒)の少数民族「ロヒンギャ」の反政府武装組織による警察への襲撃事件を機に、国軍がテロリストの掃討作戦を展開したことで60万人を超えるロヒンギャ難民が発生。軍事政権下で国籍を剥奪されるなど差別を受けてきたことも含め、ロヒンギャに対する人権侵害が国際的な人道問題になっている。

こうした分断・対立の状況を対話や相互理解によって改善し、「平和と発展」を推進していくため、仏教、キリスト教、イスラーム、ヒンドゥー教の指導者による諸宗教使節団が組織され、今回の会合が実施された。同国以外の宗教者は、スリランカ上座部仏教のコトゥゴダ・ダンマワサ・テラ大僧正、カンボジア上座部仏教のテップ・ボーン大僧正、庭野会長、ノルウェー国教会オスロ名誉司教のグナール・スタルセット師、インドネシア大統領特別補佐官(宗教間の調和)のディン・シャムスディーン博士、インドのビヌ・アラム博士、WCRP/RfP国際委の杉野恭一副事務総長の7人で、同ミャンマー委顧問を務めるカトリックのチャールズ・ボー枢機卿の招聘(しょうへい)によって使節団に加わった。

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