第43回庭野平和賞贈呈式 ブラジル・アマゾンに暮らす先住民アシャニンカ族の精神的指導者のベンキ・ピヤコ師(動画あり)

第43回庭野平和賞を受賞したピヤコ師に、庭野理事長から賞状が贈られた
公益財団法人庭野平和財団による「第43回庭野平和賞」贈呈式が5月12日、東京都港区の国際文化会館で行われた。受賞したのは、ブラジル・アマゾンに暮らす先住民アシャニンカ族の精神的指導者のベンキ・ピヤコ師(52)。当日は、宗教者や識者ら約120人が参列した。
生物が自然と調和して暮らす 持続可能な未来へ
アマゾンの熱帯雨林は樹木や土壌に約2000億トンもの炭素を蓄える天然の貯蔵庫だ。その貯蔵量は世界のCO2排出量の15年から20年分に相当し、酸素と炭素の循環を調節する役割を担う。また、数多くの民族が暮らし、多様な生物の命が育まれている。
しかし、ここ数十年、農地開発、違法伐採などにより熱帯雨林が大幅に減少。樹木や土壌に蓄えられた炭素が大気中に放出され、木々から蒸発する水が減って雨雲を形成できないことから、湿潤な森が乾燥して炭素の吸収量も減り、地球温暖化が加速するとともに、生物の生息地が破壊されている。このまま森林破壊と気候変動が進むと、アマゾンが臨界点を超え、天然の貯蔵庫としての役割を失う可能性がある。
アマゾンで生まれ育ったピヤコ師は、1992年に初めて故郷を離れ、リオデジャネイロで行われた「国連環境開発会議」にアシャニンカ族の代表として参加。以来、伝統的知識と現代的な技術を用いて環境課題に対処する「ヨレンカ・タソレンツィ研究所」や、アヤワスカ(医療植物)の伝統と先住民の権利を守るための対話の場である「先住民アヤワスカ会議」の創設など、自然の再生・保護や先住民の人権擁護に取り組んできた。全ての生物が自然と調和して暮らす持続可能な未来を目指し、国内外で知識と経験を広め、次世代を担う若者の教育にも尽力している。
贈呈式では、庭野平和賞委員会のソムブーン・チュンプランプリー委員長による選考結果の報告後、庭野浩士理事長(選名・統弘)からピヤコ師に賞状と副賞の顕彰トロフィー、賞金2000万円(目録)が贈られた。
次に、庭野理事長が登壇し、庭野日鑛名誉会長のあいさつ文を代読した。この中で、アマゾンの森林消失に伴う世界の気候変動の影響を危惧。こうした危機的状況に対し、政府やNGOと協働して持続可能な経済・社会活動を模索するピヤコ師の取り組みの特筆すべき点は、「人間・動物・植物・精霊は、広い意味での“親戚”の関係にある」といったアシャニンカ族の伝統的な価値観を精神的な規範としていることであるとたたえた。さらに、日本も古来、人間を自然の一部と捉え、自然と共生する生き方を志向してきたと話し、日本人が連綿と受け継いできた文化や伝統の中にも、自然と人間を生かす叡智(えいち)が数多くあると語った。
一方で、現代人が大量生産・消費を最優先に考えた結果、森林破壊や気候変動などの課題が山積していると指摘した。その上で、釈尊の教えは人間の欲望をかなえることを目標にしていないと伝え、日々の生活において、「本質を見究(みきわ)め、人間が生きていく上で何が大事かを踏まえて、必要なものは具(そな)え、そうでないものは省く」という「簡素」が大切と説示。「欲望のおもむくまま、無原則に生きるのではなく、宗教的な規範をもとに、行き過ぎることのない節度ある生活をおくることは、自然と人間との共生を図るために、最も大切な姿勢であろうと思います」と述べた。
最後に、ピヤコ師が記念講演を行った(要旨別掲)。
なお、5月15日には立正佼成会本部(東京都杉並区)を訪問。大聖堂で行われた「釈迦牟尼仏ご命日(布薩=ふさつ=の日)」式典で、ピヤコ師があいさつした。
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