「教皇がCOP28に参加」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

教皇とアッバス議長が電話会談

ローマ教皇フランシスコとパレスチナ自治政府のアッバス議長は11月2日、電話で会談した。バチカン報道官のマテオ・ブルーニ氏は、会談の内容について公表しなかった。

パレスチナの「WAFA通信社」は同日、アッバス議長が教皇と「ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、エルサレムを含むパレスチナの最新の状況」について話し合ったと伝えた。報道によれば、アッバス議長は、「中東と世界における教皇の和平構築に向けた役割と努力を評価」し、「イスラエルによるガザ地区への攻撃の即時停戦を訴えるバチカンの継続的な努力の重要性」を強調。「イスラエルによる一般市民に対する残虐な攻撃」を考慮し、「一般市民を戦争の恐怖から擁護する必要性」について訴えたとのことだ。

さらに、医薬品、食料、飲料水の供給、配電を可能とする「恒常的人道回廊の開設」の必要性を伝え、住居、病院、学校に避難する無実の一般市民を標的としたり、彼らの家屋を破壊したりすることは、「凶悪な犯罪」であると教皇に伝えたという。

また、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムでのパレスチナ人に対する居住権拒否(というテロ攻撃)、パレスチナ人に対するガザ地区、ヨルダン川西岸地区、エルサレムからの立ち退き命令を非難、拒否し、「パレスチナ人に自由、独立、主権を保障する、国際法を基盤とした政治的解決策の施行」を訴えた。

WAFA通信社は、こうしたアッバス議長の呼びかけに対して、教皇が「中東と世界における戦争に終止符を打ち、和平を構築していく重要性」や、戦争、紛争に苦しむ全ての人々に対する「適宜な人道支援の提供」を主張したと伝えている。

そして、パレスチナ市民の死に悲哀を表明し、「これからもアッバス議長と連絡を取り合い、さらなる協議と支援を続けていくことを約束した」とのことだ。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)