今年の「一食福島復興・被災者支援」 10団体に計900万円を寄託
11月17日には、東京・中野区の新渡戸文化小中学校で、同校7年生(中学1年生)の「サイエンスコミュニケーション科」の授業時間を使って、同研究室によるワークショップが実施された。
授業の冒頭、同研究室の上田昌文代表が放射線の基礎知識を分かりやすく説明。次いで、福島・富岡町から避難した市村高志氏(NPO法人「とみおか子ども未来ネットワーク」理事長)が、原発事故による被災地の状況について、自らの体験を交えて話し、生徒たちと意見を交換した。市村氏は被災当時を振り返った上で、「日常の中で、立ち止まって考える時間を持つことで、私たちの生活が当たり前ではなく、多くの人の支えで成り立っていることに気づくはずです。そのことが新しい社会を創造するきっかけになると思います」と語った。
生徒からは、「原発事故の問題はまだ終わっていないと知りました。事故で苦しむ人の支えになりたい」「今日の授業を教訓に、事故や災害が起きた時の対処の方法も自分で調べて考えていきたい」との声が上がった。
同校の蓮沼一美教諭は「生徒に“わが事として考える力”を授けて頂き、感謝します」と述べた。
上田氏は、「一食平和基金からの複数年にわたるご支援により、県外の小中学校で授業を提供できるようになったことは大きな前進です。避難者の人権を守り、原発を市民によって監視する意識が高まるよう、全国的な活動にしたい」と話す。
また、助成先の一つである「甲状腺がん支援グループ・あじさいの会」は、原発事故後に多発する小児甲状腺がん患者とその家族との対話を重ねる中で、放射能の影響や病気に対する不安の低減を目的に設立された。会員同士の交流や甲状腺がんに関する講座、免疫力の向上に関係する発酵食品を使った料理教室を実施。より適切な治療が可能な医療機関の紹介や、患者の生活の質の向上に役立つ最新情報の収集と提供にも取り組んできた。