バングラデシュに大量に流入するロヒンギャ難民 シャプラニールが緊急報告会

難民で膨れ上がるウキア郡のモイナ―ルゴナキャンプ(写真提供:シャプラニール=市民による海外協力の会)

続いて、9月下旬、10月初旬に現地を視察した藤﨑文子事務局次長が、インターネットの無料電話サービスを通じてコックスバザール県にある難民キャンプの現状を紹介。国際移住機関(IOM)の発表では、新たなロヒンギャ難民のうち、58%が18歳以下の年齢で、さらに全体の29%を5歳以下が占めると説明した。その上で、難民で膨れ上がるクトゥパロンのキャンプでは、衛生的な水が不足し、視察時に雨期を迎えていた現地では、テントへの雨の浸水が続くなど、劣悪な環境での生活を強いられていたと報告した。

写真提供:シャプラニール

こうした状況の中、県の役所が支援の調整役を担い、軍とIOMが合同で食糧配給や難民の個人登録を開始し、10月上旬には食糧が全体に行き渡るようになったと藤﨑氏は説明。ただし、支援の内容は妊産婦を含む女性や少女、乳幼児、高齢者への配慮が不足し、ロヒンギャの生活様式や文化に適した形ではないといった問題点を挙げた。

さらに、同政府は現段階でロヒンギャを「難民」と認めておらず、当面は健康・医療、物資の配給、水とトイレの確保、避難所の設置の4分野の支援を優先する方針を示していると指摘。「現時点では生き延びるための支援しか認められていないため、難民をボランティアとして動員したり、自立を促すような中長期的支援活動はできない。国際政治のはざまにいる難民を支援する難しさを感じている」と語った。

この後、質疑応答が行われ、参加者から、現地の治安状況や難民の様子、難民問題の根本的解決に向けた長期的アプローチに関する質問が上がった。


※シャプラニールのロヒンギャ難民支援の詳細はこちら https://goo.gl/CDPZsd

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