バングラデシュに大量に流入するロヒンギャ難民 シャプラニールが緊急報告会

写真提供:ジュマ・ネット

『ロヒンギャ難民の今――バングラデシュ 現地の現状と今後に向けて』と題する緊急報告会が10月26日、東京・新宿区の早稲田奉仕園で行われ、市民やNGO関係者ら34人が参加した。主催は、NPO法人「シャプラニール=市民による海外協力の会」。1972年から同国を中心に南アジアの貧困問題に取り組んでおり、急増するロヒンギャ難民の様子、支援状況を伝えた。

ロヒンギャとは、主にミャンマーのラカイン州に居住するインド・アーリア系ムスリム(イスラーム教徒)の少数民族。同国内で「違法な移民」とされ、82年には国籍を剥奪されるなど、弾圧や差別を受けてきた。

当日は、事務局長の小松豊明氏が報告した。これによると、今年8月25日、反政府武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)が警察の詰所約30カ所を襲撃した事件を受け、ミャンマー軍がテロリスト掃討作戦の名目で軍事行動を展開。戦闘の激化に伴い、これまでに60万人を超えるロヒンギャが国境を越え、バングラデシュ南東部コックスバザール県に押し寄せている。難民は、過去の軍事作戦によってミャンマーを追われた人々の暮らす既存の難民キャンプに身を寄せているほか、各地にバングラデシュ政府未登録のキャンプが築かれ、政府はこの問題の対応に追われているという。

これに対し、シャプラニールでは、同国政府によるNGO活動の制限が緩和された9月上旬から、現地での情報収集を再開し、支援活動の検討を始めた。小松氏は、パートナー団体を通じて、これまでに非登録のキャンプ約1000世帯を対象に食糧を配布し、今後も食糧や生活用品、毛布を提供する準備を進めていると話した。

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