緊迫する北朝鮮情勢と核兵器禁止条約を考えるシンポジウム ピースデポ主催

北朝鮮情勢と核兵器禁止条約を考えるシンポジウムが10月28日、東京・港区の明治学院大学で開催された。テーマは『日、韓は核の傘から出て禁止条約に参加を!』。NPO法人「ピースデポ」が主催し、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会が後援した。また、庭野平和財団による助成対象事業でもある。市民ら約60人が参加した。

今回のシンポジウムはピースデポ創立20周年と、創設者で、現在、特別顧問を務める梅林宏道氏の「核のない未来賞」受賞を記念して行われた。

当日は、田上富久長崎市長によるメッセージが読み上げられた後、梅林氏と韓国の参与連帯平和軍縮センター長の徐輔赫氏(ソウル大学統一平和研究院)がそれぞれ講演に立った。

『禁止条約と北東アジア非核地帯』と題する講演の中で、梅林氏は、今年7月に国連で採択された核兵器禁止条約に触れ、「核兵器の違法性を、非人道的な側面から明文化したことに意義がある」と強調した。一方、1970年に発効した核不拡散条約(NPT)では、米国、英国、ロシア、フランス、中国の核兵器保有を認めつつ、保有国に「誠実に核軍縮交渉を行う義務」を課しているが、具体的な削減の方策が示されていないために実現に至っていない課題を説明。核兵器禁止条約も「核兵器の削減のための道筋が具体的に示されているわけではない」と同様の課題を指摘した。

また、保有国の核兵器のほとんどが、冷戦下の軍拡競争下で開発・製造され、その耐用期限がおよそ2025年に迫っていると解説。トランプ大統領が米国の核戦略の指針「核体制の見直し」の一環として、小型核爆弾の運用を検討しているが、それは「21世紀後半まで使うことを見込んだものだ」と語った。その上で、現在、緊迫している北朝鮮情勢を平和的に解決し、日本、韓国、北朝鮮の3カ国が非核兵器地帯を形成して、米国、ロシア、中国の核保有3カ国が同地帯への核攻撃を行わないことを定めた条約を成立させる「北東アジア非核兵器地帯」構想の意義を紹介。この構想が核兵器削減の足掛かりになると強調した。

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