TKWO――音楽とともにある人生♪ クラリネット・亀居優斗さん Vol.2

クラリネットの魅力は“ゼロ発進”

――中学生の時に、知人から楽器を譲り受けたのがきっかけでクラリネットを始めたわけですが、吹き続けてきて感じる魅力は何ですか?

吹奏楽の“花形”といわれるキラキラしたイメージのトランペットやフルートが好きな人も多いと思いますが、クラリネットは華やかな音だけじゃなく素朴な音が出せます。そのところが僕は好きです。

無音状態からから緩やかに音量を増していく、いわゆる“ゼロ発進”ができるところも魅力ですね。例えばトランペット、フルート、オーボエなどがいる演奏の中で、クラリネットが任されるソロの部分では、聴こえるか聴こえないかのとても小さい音から始まる哀愁を帯びた旋律が多くあります。一方、そうしたピアニッシモなメロディーを他の楽器が奏でることはあまりありません。クラリネットの音は、トランペットのように大きく前に出すという感じのものではなく、聴く人の耳にスッと入ってきて、奥深い温かみのある印象を抱かせるもので、そうした音が人を惹(ひ)きつけます。

――楽器や演奏などでこだわっていることありますか?

他の奏者から「“仕掛け”をよく変えるよね」と言われます。仕掛けとは、楽器の胴の部分ではなく、吹き口のマウスピース、リガチャー(リードの留め具)、リードを指します。ずっと同じ物を使う人もいますが、僕は新しい物が出たら目移りしてしまうので、いろいろ試しています。

なぜなら、今、使っている物が自分に合っているかもしれないけれど、新しい物を試してみたら、さらに演奏が良くなるかもしれないと考えるからで、選択肢を、増やしたくて新しい物を試すんです。もちろん、うまくいかないこともあります。それに、新しいものに変えた直後は慣れていないので、コントロールがうまくできず、周囲に迷惑を掛けることもありました。

仕掛けを変えて順調にいくことばかりではないですが、僕が三つの楽団に所属してさまざまな情報を仕入れることができたのと一緒で、いろんな物に触れることで、さまざまな選択肢の中から取捨選択できることが利点だと思っています。「なんでこれが合っていて、これは合わないんだろう」と思った時に、他の物と吹き比べてみることで、それぞれの特徴を知り、自分に合っている物と合ってない物の特徴が分かってくるんです。

楽器以外の部分では、できるだけいろんなタイプのクラリネット奏者に演奏についての意見を求めたり、レッスンにも行ったりしています。好きな演奏家のレッスンを受けに行くのも大事ですが、自分と違う演奏スタイルの奏者の所にも通い、積極的にアドバイスを求めるようにしています。これまでの自分にはないものを求め、それをいかに消化できるかが自分の長所を見つけたり、成長したりする上で大切だと考えてのことです。今はまだ、「俺の演奏はこうだ!」と言えるような立場ではなく、まだまだ勉強させて頂いている身なので、どんどん吸収していきます。

プロフィル

かめい・ゆうと 1995年、愛知・春日井市生まれ。2018年に東京藝術大学を卒業後、東京佼成ウインドオーケストラに入団。第15回クラリネットアンサンブルコンクール・一般部門で1位を獲得した。その後、第87回日本音楽コンクール・クラリネット部門に入選し、第17回東京音楽コンクール・木管部門で第3位、聴衆賞、第30回日本木管コンクールで第2位を受賞した。