TKWO――音楽とともにある人生♪ パーカッション・和田光世さん Vol.2

打楽器奏者の“宿命”がTKWOと出合うきっかけに

――打楽器にはたくさん種類がありますが、和田さんも多くの楽器を所有していますか? また、 練習はどのように?

打楽器奏者の中では、それほど多く所有している方ではないと思います。それでも、タンバリン、カスタネット、トライアングルなどの「小物」は、数え切れないほど持っています。大きな楽器だと、マリンバが2台。銅鑼(どら)とスネアドラムもあります。

マレット(バチ)は数百本ほど持っています。マレットのヘッド(音板に当たる部分)は、ゴム、木、毛糸、綿糸などで出来ていて、素材の種類や硬さによって音が変わり、使う楽器との相性や使いやすさはもちろんですが、演奏する曲のイメージに一番合ったものを選ぶようにしています。自分の感覚に合うかどうかを大事にしているので、自然と数が増えていました。

練習は、トライアングルやタンバリン、カスタネットなどの小さな楽器なら自宅でできるのですが、大きな音が出る楽器は、家ではできないので音楽スタジオを借ります。大きな楽器を持ってスタジオに行く大変さは、打楽器奏者の宿命かもしれません。でも、スタジオでの練習があったから、佼成ウインドと一緒に演奏することができたとも言えるのです。

私がいつも使っている音楽スタジオには、佼成ウインドで鍵盤打楽器を担当されていた山口多嘉子さんがいらっしゃっていました。ある時、私が練習していると、山口さんが来られて、「ちょっと一度、うち(TKWO)に来てくれない?」と誘ってくださり、エキストラとして演奏を手伝うようになりました。楽団創立50周年の前の年でしたから、今から11年前の出来事です。初めて練習場を訪れた時は、楽団員同士が仲良く話されている姿が印象的で、楽団員になれたら、こういう付き合いができるんだろうなあと、少しうらやましく思ったことを覚えています。

――2018年に佼成ウインドに入団しますが、オーディションの結果を知った時はどんな心境でしたか

〈私を採ってくれるんだ!?〉と驚きました。私はそこそこの年齢でしたから、オーディションを受けても、落とされる可能性が高いと思っていたんです。それでも、なぜ受けたかというと、ちょうどその頃、自分と同い年の方が九州交響楽団に入団されたと聞いたからです。刺激を受けましたし、背中を押されているような気がしましたね。オーディションを受けるのは自由だし、合否を決めるのは楽団ですから、やるだけやってみようと気持ちが切り替わりました。もし今回のオーディションに通らなくても、演奏家として音楽を続けていく気持ちが揺らぐことはなかったですから。

楽団の一員になることが決まり、楽団員と触れ合う機会が増えるのが楽しみでした。それぞれの人柄や性格を知ることができますからね。これはとても大事なことで、演奏中にどんなことを考えて演奏しているのかを想像しやすくなり、より一層高い精度で相手の演奏の意図を酌み、自分の演奏に生かせるようになるんです。そうやって仲間と共に音楽を突き詰めていけると思うと、とてもワクワクしました。

プロフィル

わだ・みつよ 福岡・北九州市に生まれる。東京藝術大学音楽学部器楽科打楽器専攻を卒業後、同大学院を修了。第7回日本管打楽器コンクール、現代音楽演奏コンクール「競楽V」でそれぞれ第3位に入賞する。在学中からフリーランスの打楽器奏者として活動を始め、2018年8月にTKWOに入団。室内楽、オーケストラ、パーカッショングループなどで幅広く活動し、「東京シンフォニエッタ」「打楽器四重奏団“Shun-Ka-Shu-Toh”」「Percussion Unit“UNZRI”」のメンバーも務める。