TKWO――音楽とともにある人生♪ テューバ・近藤陽一さん Vol.2

ご縁がご縁を呼んで……

――TKWOとの出合いとはどんなものだったのでしょうか

2002年に大学を卒業して東京藝術大学大学院に進み、在学中にご縁があって、2004年に吹奏楽団の大阪市音楽団に入団しました。そこで7年在籍したのち、今度は管弦楽団(オーケストラ)の日本センチュリー交響楽団に6年間、在籍させて頂きました。これらの楽団での経験はとても貴重なものでした。

ただ、日本センチュリー時代の終わりの頃、楽曲によってテューバの出番が少ないことに物足りなさを感じるようにもなっていました。それは単純に楽曲の特性ですから、このまま楽団にいたいという気持ちもあったのですが、一方で、奏者としてもっと活躍したい気持ちもムクムクと湧いてもいました。

ちょうどその頃、あるコンクールの審査員を務めたのですが、会場に行くと偶然にも田中靖人さんが同じ審査員として来られていました。田中さんから、佼成ウインドでテューバ奏者を募集するから、オーディションを受けてみないかと誘われたのです。私自身、必要とされるところで演奏するのが奏者として一番幸せなことだと感じていましたし、しかも全国的に有名な佼成ウインドに入るチャンスが到来したのですから、ぜひ受けてみようと思いました。

大阪市音楽団で吹奏楽の楽曲はたくさん吹いてきたので、佼成ウインドのオーディションに向けて渡される課題曲のほとんどは、なじみの深い曲ばかりでした。それから、吹奏楽団のテューバ奏者に求められる特性などは大阪市音楽団のオーディションの時に勉強していたので、まだ吹いたことのない課題曲をしっかりとマスターするようにしました。それまで積み上げてきた経験値を、さらに最高のレベルに磨き上げるように何度もチェックを繰り返したおかげで、本番はあまり緊張せずに臨むことができました。2016年の12月にオーディションに合格できた時は、とてもうれしかったですね。

振り返れば、ここまで来るのに田中さんには本当にお世話になりました。また、佼成ウインドに先に入団してそれぞれ活躍している、ティンパニ奏者の坂本雄希さんやユーフォニアム奏者の岩黒綾乃さんは同じ大学の同級生で旧知の間柄であり、いつも励ましてくれたことも有り難かったですね。そう考えると、私とテューバとの関係がそうであるように、佼成ウインドとの関係も並々ならぬご縁でつながっていたのだと感慨深いものがあります。このご縁に感謝し、これからもお客さまに喜んでもらえる奏者でありたいと願っています。

プロフィル

こんどう・よういち 1978年、千葉・松戸市に生まれる。2001年に国立音楽大学を首席で卒業し、卒業時に矢田部賞を受賞した。02年に東京藝術大学大学院に入学。在学中の04年に大阪市音楽団に入団し、05年3月に同大学院を修了する。同年8月、秋山和慶指揮、大阪市音楽団の演奏でA・ブログのスリーミニチュアを共演。第12回コンセール・マロニエ21金管部門で第1位に、第24回日本管打楽器コンクールで第3位に輝いた。テューバを稲川榮一、柏田良典の各氏に師事する。18年1月、東京佼成ウインドオーケストラに正式に入団した。