TKWO――音楽とともにある人生♪ バストロンボーン・佐藤敬一朗さん Vol.2

佼成ウインドでの唯一の役割

――ツイッターのプロフィルに、「佼成ウインド2代目コーヒー係」とありますが、これはどういうものなのでしょうか?

コーヒー係とは、楽団員が練習場や演奏会場に来る前にコーヒーを淹(い)れる、そして最後に片付けをして帰る係のことです。佼成ウインドの練習場にある楽団員の休憩スペースには、コーヒーコーナーがあり、そこが僕のもう一つの“仕事場”です。コーヒーの豆を挽(ひ)く機械と、コーヒーメーカー、そして、コーヒー代を入れる貯金箱が置いてあります。一杯50円、一日飲み放題100円をカンパしてもらって提供しています。一日平均で3リットルちょっと、多い日だと4リットルぐらい飲まれています。

地方公演の時も、僕の仕事に変わりはありません。会場に着いたら、まずコンセントを探して、長机を出し、「出張コーヒーコーナー」を設営します。地方公演の時は、東京の練習場にあるコーヒーメーカーよりもコンパクトなものを専用の箱に入れて持っていき、豆はすぐに使う分だけを東京で挽いていって、残りは酸化を防ぐために豆で持参し、現地で挽きます。

初代のコーヒー係は、退職されたホルン奏者の西郷雅則さんです。私が引き継いで2代目になります。

西郷さんが定年で退職される時、コーヒー係はなくなる予定だったのです。コーヒーを飲みたければ、コンビニでも自動販売機でも買えるので。でも、僕はその話が出た時に、コーヒーにこだわりを持っているとは言えないまでも、好きではあったので「やろうかな」と思いました。そうしたら、テューバ奏者の小倉貞行さんが、「敬一朗、やりなよ」と言ってくださったんです。それで、「自分、やります」と申し出て、それから少しずつコーヒーにこだわるようになり、楽団員がおいしいコーヒーでホッと一息つけるようにと思いながら、淹れています。

プロフィル

さとう・けいいちろう 1987年、宮城・利府町生まれ。高校生の時、第十二回日本トロンボーンコンペティション第3位に入賞。東京藝術大学卒業。TKWOの今村岳志さんと共に、トワイライト・トロンボーン・カルテットでも活動している。