男たちの介護――(7) 妻と娘のダブル介護 家族との時間を大切に過ごす日々

特別養護老人ホームへの入所は考えなかった。自宅で介護すると正臣さんは決めていたからだ。要介護認定の申請結果は「要介護5」だった。デイサービスの利用も申し込み、ベッドや車椅子のリースなど在宅介護の準備を進めた。病院では、ベッドと車椅子の正しい移乗方法を習った。在宅介護を決意させたのは、40年以上連れ添った妻への愛情であり、正臣さんにとっては自然なことだった。退院して自宅に帰った晴枝さんが再び話せるようになった。「お父さん」。笑顔でそう呼んでくれることがうれしかった。

一度、ショートステイを利用したことがある。預かってもらったものの、心配でならない。〈ちゃんとみてくれているだろうか〉〈不快な思いはしていないか〉。迎えに行き、晴枝さんの様子を見ると、おむつが何時間も替えてもらえていなかった。後悔と自責の念が込み上げてくる。〈妻の面倒は俺が見る〉。

晴枝さんの退院から1年が過ぎた頃、今度は晶子さんが体調を崩した。実は、晴枝さんが倒れる前年、晶子さんに子宮筋腫が見つかっていた。検査の結果、筋腫の肥大と子宮体がんが疑われ、筋腫の摘出手術が決まった。

手術後、執刀医から「がんはありませんでした」と説明を受けた。〈がんの心配はないんだ〉と安堵(あんど)した。晴枝さんの介護生活は続いていたものの、親子3人、少し落ち着いた生活ができると正臣さんは信じ切っていた。

(つづく)

※記事中の人物は、仮名です