TKWO――音楽とともにある人生♪ クラリネット・原浩介さん Vol.2

チームの引き立て役

――吹奏楽では、クラリネットは一番人数の多いパートですね

僕はB♭管のクラリネットの中で、「トゥッティ」という役割を担っています。トゥッティとは「総奏」という意味で、「ソロ」と対照的な役割と言えば分かりやすいでしょうか。クラリネットのように人数が多いパートならではの、演奏に広がりを持たせる、「響きの“要”」を担っているメンバーになります。

佼成ウインドで合奏形態を組んだ時に、基本的にはクラリネットの2列目に並んでいます。「自己」を主張せずに、主役の音をいかに生かし、引き立たせるかを考えて音量、音程のバランスを取り、調整を図りながら演奏しています。

サッカーで例えると、アルゼンチンのメッシやブラジルのネイマールとか、名プレイヤーに1対1ではかなわないかもしれないけど、試合となると、チーム全員でパスをつなぎ、それぞれの役割を発揮すれば勝てる可能性がありますよね。みんなでハードワークして、攻撃の時には皆でパスをつなぎ、シュートを狙える人に託すような。音楽でも同じことが言えて、みんなで連携し、シュートを打つ人へのつなぎ役――トゥッティとは、そうした役割かなと自分では考えています。

トゥッティがいることによって、ソロで音をつくるよりも、いろんな個性がブレンドされて、音の深みが増すのです。主役を輝かせるために陰で支え、全体ですてきな演奏を披露する――チーム全員で勝利する楽しさと面白さがあります。

プロフィル

はら・こうすけ 1989年、神奈川・横浜市生まれ。昭和音楽大学大学院修士課程を学長賞を受賞して修了した。S・マカリスター氏作曲のクラリネット協奏曲(フリーバーズ=日本初演)、アーティ・ショウ(クラリネット協奏曲=吹奏楽新校訂版日本初演)を昭和ウインド・シンフォニーと協演、いずれも国内レーベルCAFUAレコードよりCDがリリースされている。2014年にTKWOに入団。TKWOのメンバーで構成された木管五重奏ユニット「東京ELEMENTS」でも活動している。