TKWO――音楽とともにある人生♪ ピッコロ・丸田悠太さん Vol.3

演奏家として目指す理想

――丸田さんのトレードマークとして、カラフルなメガネ、一度見たら忘れられないヘアスタイルがあります。なぜ、そうしているのですか

「人の記憶に残る」というのは、簡単なことではありません。ですから、演奏自体もそうですが、それ以外でも、人の記憶に少しでも残るようにと思って、髪をとがらせて、派手なメガネを掛けています。それで興味を持った方が、「アイツの楽団はどんなところだ?」と佼成ウインドについて、より関心を抱いてくれるかもしれませんし、そこからまた演奏会に来てくれるかもしれませんし、CDを手に取って聴いてくださるかもしれません。さらに、吹奏楽に限らず、音楽をはじめ芸術というものに興味、関心を向けてくださる可能性もあると思っています。

今は、髪をとがらせて、派手なメガネを掛けたピッコロ吹きといえば、多くの方が僕にたどり着いてくださるみたいです(笑)。ですから、この髪形とメガネはしばらくかえられません。

自分が演奏する時、来場してくれた目の前の方々は、音楽に初めて触れる人かもしれないという気持ちで、毎回ステージに臨んでいます。小学2年生の時の自分がまさにそうで、それで人生が決まりましたから。初めての方を含め聴いてくださった人たちが、その一日を振り返った時に、「今日は楽しい時間を過ごすことができた」と思える場をつくり上げることが、私たち演奏家にとって大事な役割だと感じています。

音楽は「時間芸術」です。楽器から出た音は、決して元に戻ることはなく、時計の針を戻すことができないのと同じで、決してやり直すことができません。だから、一瞬一瞬が勝負です。僕ら奏者には音の全てに責任があるのです。

<何の曲を演奏したか覚えていないけれど、子供の頃に聴いた“とがった髪形の人”の演奏だけは覚えている>。初めて聴いてくれた子供たちがそう思ってくれたら最高です。皆さんに、少しでも感動をもたらすことができるように、今まで自分が養ったもの全てを表現していこうという気持ちはいつも変わりません。演奏会が終わっても記憶に生き続けるような演奏家になりたい、そう思っています。

プロフィル

まるた・ゆうた 新潟市出身。フルートを榎本正一、浅利守宏、大友太郎、佐久間由美子の各氏に師事する。国立音楽大学を首席で卒業、矢田部賞受賞。第7回JILA音楽コンクール管打楽器部門第2位。東京ニューシティ管弦楽団を経て現在、東京佼成ウインドオーケストラのピッコロ&フルート奏者、副コンサートマスターを務める。昭和音楽大学、洗足学園音楽大学非常勤講師。

公式ブログ“笛吹きの雑記帳” http://blogs.yahoo.co.jp/fuefuki_yuta_lanevo4g63turbo