TKWO――音楽とともにある人生♪ テナートロンボーン・今村岳志さん Vol.3
高校時代に聴いたジョン・ウィリアムズのオリンピック・ファンファーレに衝撃を受けた今村岳志さんは、2014年、学生時代から憧れを抱き続けていた東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)に入団した。入団後に感じた佼成ウインドの魅力やトロンボーンの役割、そして練習に励む中学・高校生へのメッセージを聞いた。
幅広い演奏ジャンルに驚愕
――入団して4年目を迎えますが、当初に感じたことは?
入団するまでの私はクラシックをメーンに演奏活動をしていたのですが、佼成ウインドは、クラシックはもちろん、ポップス、ジャズなど演奏するジャンルの幅がものすごく広い。エキストラの時には見えなかった部分ですね。本当に驚きました。最近ではいろんなジャンルが吹けるように、クラシックだけにとどまらず、ジャズやポップスなども勉強し、演奏技術をより一層磨いていきたいと思っています。
――演奏でのトロンボーンの役割とは何でしょう?
トロンボーンはハーモニーを得意とする楽器なので、3、4人でハーモニーを作って演奏を支えるのが役目です。例えるなら、絵の背景のようなもの。いくら主役がよく描けていても、そこにきれいな背景がないと、全体としてはあまりいい絵にはなりません。演奏では、トロンボーンセクションの音をそれぞれがよく聴き、互いに寄り添うように音を奏でることを最も大事にしています。セクションで完璧なハーモニーが決まった時には、幸せな気持ちに浸れます。
――宮崎県は焼酎が有名ですね。お酒を飲むのが好きだと聞いています。お酒を好み、音楽を愛する、共通するその心は?
お酒は熟成させることで、香りや風味が変化していきます。だからといって、より熟成されたものが優れているということではありませんよね。熟成が浅いものには浅いなりの、深いものには深いなりの良さがあり、単純に比較できません。それに、人によっても熟成度合いの好みは違います。
音楽もこれと似たような部分があるかもしれません。同じ楽曲を演奏するにしても、さまざまな経験や年齢を重ねていくことで、それまでになかった発想や技術を得て、新たな表現ができるようになります。だからといって、若い時には若者らしい演奏の良さもあれば、経験を重ねたことで奏でられる音の奥深さもあるので、一概に優劣はつけられません。そういう意味では、その瞬間、瞬間の自分の持っている音楽を最大限に表現していくことが大切だと思っています。
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