TKWO――音楽とともにある人生♪ フルート・前田綾子さん Vol.1

日本トップレベルの吹奏楽団として知られる東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)。演奏会をはじめ、ラジオやテレビ出演など、多方面で活躍する。また長年、全日本吹奏楽コンクールの課題曲の参考演奏を行っていることから、特にコンクールを目指す中学生・高校生の憧れの存在でもある。今企画の6人目に登場するのは、ソリストとして、また、指導者としても活躍するフルート奏者の前田綾子さん。初回は、フルートを始めたきっかけや、音楽とは別の道を歩もうとしていた過去に触れる。

私の心を捉えた一つの楽器

――フルートを始めたきっかけは

小さな頃から私の家の中では、クラシックが流れていました。父がクラシック好きだったんですよね。その頃から、一つだけ気になる楽器の音色があったんです。それがはっきり分かったのは、小学6年生の時でした。

プロのオーケストラの楽団が学校を訪問し、演奏してくれたことがありました。その中に、ずっと自分が気にかけてきた音色を奏でる楽器を見つけました。それがフルートだったのです。さまざまな楽器が音を奏でる中で、フルートの音だけが際立って聴こえ、私の目は、奏者の姿に釘付けになりました。

小学生の私が「神秘的」という言葉を、使うなんてことはなかったのですが、今、あの時の気持ちを表現するなら、とっても神秘的な感覚に満たされていたんだと思います。

演奏がいつまでも耳に残り、「自分も吹きたい」という思いでいっぱいでした。帰宅すると、「どうしても、フルートをやりたい」と親に言いました。もちろん、何万円もする楽器をすぐに買ってくれるような両親ではなかったので、その年の私の誕生日に買ってもらいました。

――フルートとはどんな楽器でしょう?

楽器によって、音色も、音を奏でる仕組みも違いますが、その中でフルートは、他の管楽器とは音の生まれる仕組みが根本的に違います。息が通る道を作る役割を果たすリードもなければ、マウスピースもありません。ですので、自分の息の吹き出し方がそのまま、音につながるのが特徴で、それが魅力だと思います。

その仕組みで似ているのは、飲み物のビンで、子供の頃に、飲み口に息を吹き込んで、音を鳴らして遊んだことはありませんか。その時に音が出るのと、フルートの音が出る仕組みはほぼ一緒です。力強く息を吹き込んだり、やわらかく吹き込んだりして変化をつけると、繊細に反応します。そのため、歌うように音色を奏でるといわれ、この点がとても神秘的だと思っています。

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