発達障害・発達凸凹――当事者からのメッセージ 広野ゆい・NPO法人DDAC代表

私は発達障害の当事者です。ちょっと見ただけではきっと、皆さんには私に発達障害があるということは分からないと思います。発達障害にはADHD(注意欠陥・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム障害)、LD(学習障害)といった特性がありますが、31歳の時に医者から診断されたのは、ADHDでした。日本の人口の3~5%が該当すると言われ、「強い貧乏ゆすり」「絶え間ないおしゃべり」「じっとしていられない」「周囲にちょっかいを出す」などが特徴です。活動量が多く、エネルギッシュな多動性は、ある人とない人がいます。

衝動性と不注意も特徴で、これは生きていくのにとてもつらい特性です。「何か思いついたら黙っていられない」「忘れやすい」「集中力が続かない」などがあるため、子供の時から怒られることが多く、私も先生から多々怒られた記憶があります。

私にはASD(自閉症スペクトラム障害)の傾向もあります。執着心が非常に強く、気持ちの切り替えができません。また、他者の感情や意図を読み取ることが苦手で、コミュニケーションを取ることが難しくもあります。

私は子供の頃、おしゃべりでしたので、周囲の人からはコミュニケーションが苦手だと思われていませんでした。しかし、実際は非常に一方的に自分の話をし、相手の話を聞いていない子でした。

発達障害にはもう一つ、LD(学習障害)があります。LDで有名な人は、米国の俳優であるトム・クルーズですね。彼は文字が読めないので、台本を代読してもらい、それを聞いて覚えています。

もし、目の前に字が読めず、俳優になることを目指している人がいたら、「台本も読めないのに、俳優なんてできるわけがないだろ」と言いそうになりませんか。LDの人は文字が読めなくても、理解することはできます。一部ができないからといって、全てができないわけではありません。親や教師、また指導者も、相手のできないところを克服させようと思いがちですが、できるところを見つけて、伸ばす手伝いをしてあげてほしいと思います。

 

【次ページ:周囲に理解してもらえない苦しさ】