【精神科医・平光源さん】「学校に行きたくない」と思う日があってもいい

夏休みが明け、2学期が始まる9月1日前後は、自ら命を絶つ子どもの数が増えると言われています。これから未来に羽ばたく子どもたちの胸の奥には、どのような思いが秘められているのでしょうか。不安に押しつぶされそうな子どもたちの問いに、自らも不登校を経験したことのある精神科医・平光源氏が答えます。

自分の〝好き〟を見つけて

――夏休み明けは学校に行くのが不安です。でも、親には学校に行きなさいと言われ、つらくて死にたいと思ってしまうこともあります。どうしてこんな気持ちになるのでしょうか

僕も不登校を経験しましたから、その気持ち、よく分かります。自分にあまり自信が持てなくて、自分の素敵なところが見えない(自己肯定感が低い)状態であればなおさら、学校へ行くことに不安を感じると思います。特に、1学期を何とかやり過ごし、夏休みを迎えてホッとした後の2学期のスタート時は、不安が大きくなりますよね。でも、それは当たり前のことなのです。

自己肯定感が低いと、自分はクラスの中で弱い立場だと感じやすくなります。例えるなら、肉食のトラが39頭いる教室の中に、草食のシマウマの自分が1頭で乗り込むような感覚です。そんな場所には怖くて行きたくないですよね。生物の本能としては、生き延びるために危険な場所を避けて安全で心地よい場所に移り住みたいところ。ですが、学校という怖い場所以外に生きていく場所がないと思い込むあまり、死という間違った選択をしてしまうことがあるのです。

――学校以外に生きる場所はありますか?

ある不登校のお子さんは、花が大好きでした。学校には行けないけれど、花について調べ、専門家もびっくりするほどの知識を蓄えました。花屋になら行けるというので花屋に通い、そのうち問屋にも連れて行ってもらうようになり、大人たちにかわいがられ、居心地が良かったのでしょう。のちに花屋さんになり、楽しく過ごしているそうです。

またある人は中学、高校と不登校でしたが資格を取って大学に入り、ずっと好きだった漫画の研究会に入部しました。そこでアニメに関して豊富な知識を持つ先輩に出会い、「こんなすごい人もいるのか」と衝撃を受け、もっと先輩を知りたいと部室に日参。そこから人間関係が広がり、大学を無事卒業し、社会人になりました。

誰もが〝本来の自分に戻り、自分らしく生きるためのエッセンス〟を持っています。そのエッセンスを見つけることで、自分らしく生きる場所、生きる目的が見つかります。見つけたら、スモールステップで努力していけばいいのです。本当にやりたいことのための努力は幸せで、楽しいものですよ。

――どうやって自分らしく生きるためのエッセンスを見つければいいのでしょうか

好きだなと思ったことに、とにかくチャレンジしてみましょう。試してみて、自分に合わないと思ったら、別の道に進めばいいのです。失敗したっていい、自分に合わないと分かることも大事な経験。僕は「失敗は成功の味の素(もと)」と言っています。

今は偏差値重視ではなく個性のある人を募集する高校、大学が増えています。まずは、好きなことを探しましょう。美術や音楽、植物や動物との触れ合い、モデルや芸能関係など、「これは面白い!」と思うことを見つけて取り組んでみましょう。

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