立正佼成会 庭野日鑛会長 7、8月の法話から

「大和(だいわ)」の精神を正しく理解する

昭和20年3月10日には、東京の下町に大空襲があり、10万人を超える方々がお亡くなりになりました。また、昭和20年8月6日には広島、そして8月9日には長崎に原爆が投下されました。広島の場合は14万人、長崎の場合は7万5千人におよぶ大勢の方々がお亡くなりになりました。そうした終戦から75年の記念日になります。

今日は、日本の国の歴史、伝統が私たちにとって、とても大事なことだと思い、そのことを申し上げます。

宇宙も人間も、皆、大和(だいわ)から成り立っているといわれています。和というものがなければ、何も存在できません。

かつて、「和」という字を用いて、天平勝宝年間、日本の国名が、「大和(やまと)」と定められました。大きな和と書いて「大和(やまと)」。

私たちが、正しく理解し、受け取って、さらにその精神を後世に伝えていかなければならない大事な言葉、国名であったと言えます。

どういうことかと申しますと、古代日本の文化の偉大な功労者であった聖徳太子は、十七条憲法の冒頭、「和を以(もっ)て貴(たっと)しと為(な)す」と宣言されました。その「和」を用いた大和(やまと)、大和(だいわ)とは、「Great Peace」「Great Harmony」、いわば「大いなる平和」「大いなる調和」を意味する国号、国の名前であったのです。その精神は、歴史的に終始一貫する国家的、民族的な理想であったということです。

ですから、わが国、日本の国の古今を通ずる本願が、「大和」という国名の中に込められています。日本の国には、二千年を超える歴史がありますが、そうした中で、和の精神を国の本願とし、歴史的に終始一貫して保ってきた国であるということを、私たちは正しく理解し、受け取って、後世に伝えていくことが大事ではないかと思います。

終戦の年、私はまだ小学2年生、7歳でしたが、もう82歳になりました。当時を思い返してみますと、懐かしいこと、苦しかったことなど、いろいろなことが思い出されます。

大和(だいわ)――大きな和の精神を、日本人として、しっかりと後世に伝えていくことがとても大切です。
(8月15日)

画・茨木 祥之

日々学ぶ

「人生は絶えざる学業である」「毎日毎日学んでいくべきものである」といわれています。社会や宇宙は、そのままに「一大経巻」であるともいわれます。ですから私たちは、本当に日々いろいろなことを学んで、この人生を全うしていかなければなりません。

私は、よく道元禅師の言葉を紹介しますけれども、こういう言葉がございます。「学道(がくどう)の人、若(も)し悟を得ても、今は至極(しごく)と思(おもう)て、行道を罷(やむる)ことなかれ。道は無窮(むぐう)なり、さとりても猶(なお)行道すべし」。

この大意は、「仏道を学ぶ人は、もし悟ることができたとしても、もうこれでよいと思ってはならない。道はきわまりないものであるから、悟ってもなお、修行しなければならない」となります。

人生は絶えざる学業であって、社会や宇宙はそのままに「一大経巻」であるから、日々学んで、新しい人になるということが大事である。つくづくそう思うのです。
(8月15日)