立正佼成会 庭野日鑛会長 7、8月の法話から

7、8月に大聖堂で行われた式典から、庭野日鑛会長の法話を抜粋しました。(文責在編集部)

全てをわが事として

私たち一人ひとりに、本来、お釈迦さまと同じ心、精神があることを信じていく――それが信心、信仰です。そして仏さまのお心を信じ、自らの心を信じて、精進させて頂くことが信心、信仰の活動です。

その意味で、道元禅師は、お釈迦さまのお心に沿う大変大きなお心をお持ちでした。何を見ても何を聞いても、それが「自分自身」である、「己れ自ら」であると感じられました。

私たちは、「自己」と「他人」とを区切って感じていますが、道元禅師は「他己(たこ)」「他の己れ」と呼ばれました。

他は他でありますが、それがそのまま「己れ」として感じられて、その喜びも悲しみも「己れ」の喜び、「己れ」の悲しみであるのです。

「己れ」と「他人」を分け隔てるのではなく、全てが自分自身の問題なのだという大きな心、大きな精神を持った人間に成長する、あるいは、それを信じて精進していく――そうした信心、信仰の生活を、私たちも今、させて頂いています。前人、仏さまやいろいろな聖なる方々の言葉を通して、そういう心になれるように、お互いさまに信仰活動、信仰の精神を忘れないで精進したいと思います。
(7月15日)

「朝」を大切に

人間が本当に活きる時間、人間を本当に活かす時間は、朝だといわれています。「朝」というものを持たなければ、一日がだめになってしまうとさえいわれています。

人間は、寝ている間に、昨日までのいろいろなことを忘れてしまうのだそうです。朝は、スカッとした頭で起きますから、読んだものがスッと入ってくる。大事な本、熱心に学んでいる本は、朝のうちに読んでおくと良いといわれます。学ぶ姿勢、学ぶ態勢が一番良いのが、朝の時間だそうです。

人によっては、皆が寝静まり、周囲が静かにならなければ、仕事ができないという人もいるようですが、大体の人は、朝、目が覚めた時が、体の状態、脳の状態が一番良いそうです。朝の時間を大いに活用して、しっかりと学ばさせて頂くことが大事だと思います。

私たちは、お日様のおかげさまで生かされています。どんなに科学が発達しても、太陽がなければ人間は生きていられません。もちろん空気もなければ、水もなければ、生きていられません。

私たちのいのちの根源は太陽でありますから、朝早く起きて、日の出を拝んだり、一日の無事をお願いしたりすることを、昔のこととして笑っていないで、本当にそうだと受け取って、朝のひとときを大事にする。このことが、一日を大事にする、そして一生を大事にすることにつながっていくのです。
(7月15日)

【次ページ:「『大和(だいわ)』の精神を正しく理解する」「日々学ぶ」】