内藤麻里子の文芸観察(26)

若者にこんな思いをさせてはいけない。西加奈子さんの『夜が明ける』(新潮社)を読んで、つくづくそう感じた。ロスト・ジェネレーションの若者を描いているのだが、『漁港の肉子ちゃん』(2011年)、『サラバ!』(2014年)などで知られる西作品らしく、不思議な企(たくら)みに満ち、なおかつ心に迫る小説だ。

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