おもかげを探して どんど晴れ(12) 文・画 笹原留似子(おもかげ復元師)

画・笹原 留似子

「いのちの授業」前編

全国各地の中学校や高校からお声を掛けて頂き、「いのちの授業」を行っています。今年で10年を超えました。

「いのちの授業」は、一人の中学生の子が先生に、「大切な家族を亡くし、友達とうまく話せなくなった」と相談し、先生から私に相談の連絡をくださったことがきっかけで始まりました。間もなく、私は学校を訪ね、大切な家族を亡くした本人にどんな思いなのかを尋ねました。すると、「友達の言葉が心に刺さるのは、なぜだろう? 痛いんです」と話してくれました。詳しく聞いていくうち、自分の心の中が知りたいと言われ、「本当は友達とこれまで通り仲良くしたい」と願う心があることが分かりました。この時、家族を亡くして遺族となった6人の生徒さん方と面会し、「いのちの授業」という名前を考えてくれました。授業でお話ししたのは、「生きること、死を迎えること」について。彼らの真っすぐな瞳を目にし、これは専門職として答えなければならないと思い、スタートしたのです。

学校訪問を続けていて、生徒さん方から出される質問の多くは、「大人は、『いのちを大切にしろ!』と言うけれど、じゃあ、どういう方法で大事にすれば良いのか知りたいんです!」という内容です。

「死」の世界を知ってもらえると、「生」のこともよく理解してもらえます。「死」と「生」は別々に存在していません。二つはつながっていて、人は生きている以上、必ず死を迎えます。ですから、人の死亡率は100%です。みんな、分かっているのに意識していません。いつまでも自分と周りの人だけは生き続けていて、「明日も今日と変わらない日が来る」と当たり前のように思っています。でも、そんなことは、ありません。今日は、当たり前に存在しているわけではないのです。明日も、当たり前に来るわけではありません。

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