『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(23) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

画・国井 節

一年の計

一年の計は元旦にあり、というから、新春にそれを考えた人も多いだろう。昨年は4回にわたって明治維新について考えてきたので、その歴史を振り返りつつ今後の日本を考えてみよう。

政治に関心がある人にとっては、統一地方選、参院選と続く今年の政治日程に鑑みて、現政権の勢いが持続するかどうかが、最大の関心事だろう。政権が目指す改憲の実現を願う人がいる半面、それを専制的な政治と見なして打倒を念願している人もいるだろう。いずれにしても大事なのは、今後の大きなビジョンだ。

幕末の志士たちは、海外の動向について情報を可能な限り集めて、「尊皇」を旗印にしつつ公議・公論を軸にした新しい政治体制を構想した。この観点から今の政治を見れば、政権側は改憲というビジョンが鮮明であるのに対して、野党の側はそれに代わる大構想を掲げているようには見えない。

もちろん、政権を批判して立憲主義や民主主義の回復を主張しているのだが、内政においても外交においても、その次の骨太な政治的構想を打ち出してはいないからだ。いわばネガティブな政治の批判はしているのだが、実現を目指していくポジティブな政治的理念が不明瞭と言わざるを得ない。政権に不満や幻滅があっても、野党の支持率がさほど上がっていかないのはこのためではないだろうか。

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