利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(81) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

現代版「平家物語」における「鐘の音」

安倍晋三元首相の国葬の際に、この連載(第67回)で『平家物語』の「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹(さらそうじゅ)の花の色、盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす」という有名な文句を引用した。安倍政治の「必衰」を予感したからだが、それから1年3カ月が経って、日本政治の「盛者必衰」が現実化する時が遂(つい)に到来しつつあるようだ。安倍政治に批判的なキャスターらが降板していったテレビや新聞で、現代版『平家物語』の末路を予感させるニュースが、「鐘の音」のように連日鳴り響いている。

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「開祖さま生誕会」庭野会長が法話 紡がれたいのち尊び、日常を大切に(動画あり)

立正佼成会を創立した庭野日敬開祖の生誕を祝うとともに、その遺徳をかみしめ、世界平和の実現に向けて菩薩行実践の誓いを新たにする「開祖さま生誕会」が11月15日、大聖堂(東京・杉並区)はじめ全国各教会で開催された。大聖堂には、会員約1300人が参集。式典の様子はインターネットを通じてライブ配信(会員限定)された。

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仏教・キリスト教対話会議 世界を癒やすための七つの行動を提唱(海外通信・バチカン支局)

バチカン諸宗教対話省は11月13日から16日、タイ・バンコクで、同国の仏教大学、諸教団、財団、そして、現地のカトリック司教会議と協力し、「第7回仏教・キリスト教間対話会議」を共催した。『傷ついた人類と地球の癒やしを求めての対話における悲(カルナ)と愛(アガペ)』をテーマにした2宗教間における対話会議には、カンボジア、香港、インド、日本、英国などから、約150人の宗教指導者や専門家が参加。アジアのカトリック司教会議連盟も代表者を派遣した。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(80) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

政治哲学から見る旧統一教会への解散命令請求

文部科学省は、民法上の不法行為を根拠に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令を東京地裁に請求した(10月13日)。宗教法人法における「報告徴収・質問権」を7回にわたって行使し、教団からの資料収集や元信者への聞き取りを行い、この決定に至ったのである。

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バチカンから見た世界(143) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

3宗教間の融和なくして中東和平は実現できない(2)―中東カトリック指導者の糾弾―

イスラエルとパレスチナ領ガザ地区を実効支配するイスラーム過激派組織ハマスとの間で戦闘が始まってから、40日(11月15日現在)が過ぎた。伊カトリック司教会議通信社「SIR」によると、カトリック教会の聖地(エルサレム)管理局のイブラヒム・ファルタス神父は、「私たちアラブ人は、40日後に死者を追悼する」「ユダヤ人が、約束の地に到着するまでに、シナイ半島の砂漠を放浪したのは40年間だった」「キリストが砂漠で孤独、飢え、誘惑と闘ったのは40日間だった」「(イスラエル軍が2002年のインティファーダ=抵抗運動=で蜂起したパレスチナ人戦闘員を捕獲するために)キリストの生誕教会を包囲したのは40日間だった」と指摘し、“40”という因縁に沿ってイスラエルとハマス間での戦闘が終われば、それは「神からの恩恵だ」と願望を表明したという。

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熊谷教会「出会いの森」20周年記念式典 少年育成に力を入れる1年に

2003年10月、立正佼成会熊谷教会の敷地の四方に、ブナや桜など全29種類、約1200本の苗木が会員の手によって植えられた。翌年、全国各地の教会を訪ね、会員と法の縁を結ぶ「ご巡教」で訪れた庭野日鑛会長は、人や法に出会い、法を理解して実践する人を育成する大切さを示した上で、「木が育つのと同じように、皆さんも成長して立派な人間になって頂きたい」と話し、植樹された木々を「出会いの森」と名付けた。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(79) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

イスラエル・ガザ「戦争」

ウクライナとロシアの戦争が続く中、もう一つの戦争が始まってしまった。パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラーム武装組織ハマスが、イスラエルに約2500発のロケット弾を発射し、100人が死亡し、800人以上が負傷した(10月7日)。イスラエル政府は「戦争状態」という声明を出して、ガザ地区に報復の空爆を開始し、ガザ地区の住民110万人に退避要求を出して地上侵攻の準備を整えた(16日)。アメリカは人道危機への対処には傾注しているが、地上侵攻は黙認している。アメリカやヨーロッパの多くの国々がイスラエル寄りであることは否みようがない。安保理決議にも採択の見通しはない。

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佼成学園「創立記念式典」 先祖から受け継がれたいのちを懸命に生きる 庭野学園長が諭告

9月7日、学校法人佼成学園の創立69周年を祝い、「令和5年度創立記念式典」が立正佼成会の大聖堂(東京・杉並区)で催された。佼成学園中学・高校の生徒1254人、同女子中学・高校の生徒740人は、新型コロナウイルス感染症対策のため、教室でのオンライン配信の視聴を通して参加した。

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令和5年次「目で学ぶ み教え 目で聴く 法座」開催 耳の聞こえない・聞こえにくい人のハイブリッドの集い

『生かされていることに感謝し、みんなに元気を与えられる自分になろう。』をテーマに、立正佼成会の習学部教育グループが主管する令和5年次「目で学ぶ み教え 目で聴く 法座」〈耳の聞こえない・聞こえにくい人のハイブリッド(リアル・オンライン)の集い〉が8月27日に行われた。

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スリランカで「子どもの権利と幸福のための宗教者の役割」に関するワークショップ

ユニセフ、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)、共同学習イニシアチブの三者による「子どもの権利と幸福のための宗教者の役割」に関するワークショップが8月13~15日、スリランカ・コロンボ市内のホテルで開催された。テーマは『南アジアにおける思春期の少女のための協力と前向きな変化の促進』。南アジアの中でも特に貧しい地域とされるインド、パキスタン、ネパール、バングラデシュ、スリランカを中心に8カ国から、ユニセフ職員、宗教指導者、政府関係者ら約70人が参加した。日本からは、アジア宗教者平和会議(ACRP)の篠原祥哲事務総長(WCRP/RfP日本委員会事務局長)、根本信博上級顧問(立正佼成会参務)が出席した。

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