新宗連が「靖国神社の政治利用に対する意見書」を岸田首相に提出

新日本宗教団体連合会(新宗連)は7月23日、鈴木裕治・新宗連信教の自由委員会委員長(妙智會教団理事)、力久道臣・同政治委員会委員長(善隣教教主)の連名による岸田文雄首相宛ての「靖国神社の政治利用に対する意見書」を提出した。同日、両委員長が東京・千代田区の自民党本部を訪れ、同党組織運動本部長の金子恭之衆議院議員に手渡した。

意見書の提出は、同神社の例大祭に合わせて岸田首相が内閣総理大臣名で真榊(まさかき)を奉納したことに対するもの。

意見書では、「戦争犠牲者の慰霊・追悼は、国民それぞれが個人の信仰に基づいて行うべき」という新宗連の姿勢を改めて表明した。

また、国会議員の「個々の『信教の自由』は基本的人権の根幹として尊重されるべき」とした上で、過去に行っていなかった真榊奉納を首相就任後から続けるのは、政治的立場を意識した行為に受け取られかねないとの危惧を表した。さらに、首相という政治的立場による同神社への関与は、「特定宗教の『援助・助長』にあたり、政府によって当該宗教が、戦争犠牲者の慰霊・追悼において、他の施設などより特別なものであるかのような評価やイメージ」を与えていると指摘。憲法に定める「政教分離」原則に違背し、信仰を持たない人々の「信教の自由」を侵害し得る問題があることに懸念を示した。

また、同神社に対するこうした関与には、特定の支持者へのアピールといった政治的意図が感じられるとし、「政治家が宗教団体を政治利用することは、当該宗教が本来大切にしている純粋な宗教性を毀損(きそん)する行為」と憂慮。「安易な宗教団体の政治利用が、昨今社会問題化している宗教と政治の問題を生み出しているといっても過言ではありません」と表明し、現政府に対して「信教の自由」と、「政教分離」原則に基づいた賢明な判断と行動を取るよう要望した。

この後、両委員長は衆議院第一議員会館会議室で国民民主党の玉木雄一郎代表に、立憲民主党本部で泉健太代表、末松義規・企業・団体交流委員長代理に面会し、それぞれ意見書を手交。日本維新の会の馬場伸幸代表に宛てた意見書は同日、郵送で提出された。