「実践的仏教」を探究して 学林創設60周年記念式典ならびに学林合同入林式(動画あり)

式典の第一部では、入林生代表が「誓いの言葉」に立ち、世界平和に貢献する仏教実践者としての抱負を発表した

立正佼成会の学林は1964年、「世界の佼成会たらん」という庭野日敬開祖の願いをもとに、「実践的仏教」「諸宗教対話・協力」を柱とした青年リーダーの育成機関として創設された。以来、約2400人の仏教実践者を社会に送り出してきた。創設から60年を迎えた4月6日、庭野日鑛会長臨席のもと、「学林創設60周年記念式典ならびに学林合同入林式」が大聖堂(東京・杉並区)で挙行され、杉野恭一学林学長をはじめ、来賓、学林関係者、卒林生、在林生、未来を創る在家青年ら約3000人が参集した(オンライン配信の視聴者含む)。

当日の様子(クリックして動画再生)

式典の第一部は、東京佼成ウインドオーケストラの勇壮な序奏で開幕。庭野開祖による建学の精神や、学林生たちの願いを紹介する映像作品が上映された。

次いで、今年次の入林生が盛大な拍手に包まれて入場した。計31人の氏名が読み上げられた後、代表者が聖壇に上がり、杉野学長を前に「誓いの言葉」を述べた。発表に立ったのは、大樹(本科)61期生の男性(26)=市川教会、女性(24)=知多教会、男性(31)=北広島教会、男性(22)=三郷教会、男性(22)=西多摩教会、女性(22)=渋谷教会、蓮澍・海潮音科31期生の男性(26)=バングラデシュ教会、光澍大学科50期生の女性(18)=一宮教会、芳澍女学院情報国際専門学校31期生の女性(19)=群馬太田教会。「子どもたちの尊いいのちが犠牲となる世界を変えたい」「目の前の人に無償の愛で接し、自分の周りから平和を生み出す」など、一人ひとりが社会に貢献する仏教実践者としての抱負を力強く宣言した。

学林歌『大樹めざして』の斉唱に続き、訓話に立った杉野学長は、学林創設60周年を機に制定されたビジョンである『Tradition-ing the Tradition~未来からの風を感じ、伝統を変革創造する~』の意義を紹介。法華経の精神に基づいた全人教育を受け継ぎながら、今後はよりグローバル、諸宗教、多世代に開かれた学林を目指していくと発表した。「人々に希望と勇気を与え、世界を創造する菩薩道の先駆者への道を、喜びと誇りを持って歩んでいってください」と入林生を激励した。

この後、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際名誉事務総長のウィリアム・ベンドレイ博士が、来賓を代表して挨拶した。ベンドレイ博士は、本会と共に諸宗教対話による平和構築に取り組んできた体験を回想。紛争で傷ついたボスニア・ヘルツェゴビナの人々が、庭野会長の訪問を受けて安らぎの表情を浮かべた様子などを通し、世界中の人々が「慈悲の静かで力強い働き」によって一つに結ばれていると実感できた思い出を語った。その上で、世界の諸課題に対処するには、「菩薩のものの見方を身につけることから始めなければ」と述べ、人々の苦の根源を解決する「実践的仏教」の必要性を訴えた。

庭野会長は、宗教精神をもとに平和な世界をつくることを願い、精進を重ねる大切さを説いた

法話に立った庭野会長は、1970年、初代学長に就任し、年齢の近い学林生たちの“兄貴分”のような立場で行動を共にした日々を述懐。「学林が人間でいえば還暦を迎えたということで、本当にめでたい」と語った。その上で、教育とは本来、学校で営まれる以前に、父母が行うべき大切な仕事の一つだと強調。「親こそ最良の教師」との言葉を紹介し、両親は子どもに対して最も強い影響を与える存在であるからこそ、学林が新たなスタートを切る今、家庭教育の在り方を改めて問うことが重要と説いた。

また、地球上に生きる私たちは、太陽の光を浴びることで「生かされている」との認識を持つことが大切と明示。世界各地で戦争が続く中でも、「宗教に基づいて平和な世界になる、そうしたことを願って精進をしてまいりたい」と語った。

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